出版社内容情報
大木毅[オオキタケシ]
内容説明
一瞬の躊躇、刹那の決断が国家の興亡を分ける―独創的な視点と新たな史資料が人類未曾有の大戦の分岐点を照らしだす!
目次
第1部 太平洋の分岐点(潰された卵―独立混成第1旅団の悲劇;奇想への跳躍―真珠湾攻撃とタラント空襲;プリンシプルの男―美しき猛禽、零戦が生まれる時 ほか)
第2部 ヨーロッパの分岐点(ノモンハンのジューコフ―独ソ戦のリハーサル;幻の大戦車戦―消された敗北;極光の鷲たち―PQ17護送船団氷海に潰ゆ ほか)
第3部 ユーラシア戦略戦の蹉跌(ドイツ海軍武官が急報した「大和」建造;フリードリヒ・ハックと日本海軍;ドイツと「関特演」 ほか)
著者等紹介
大木毅[オオキタケシ]
1961年東京生まれ。立教大学大学院博士後期課程単位取得退学。DAAD(ドイツ学術交流会)奨学生としてボン大学に留学。千葉大学その他の講師、防衛省防衛研究所講師を経て、現在著述業。2016年度より陸上自衛隊幹部学校部外講師。また、「赤城毅」名義で、小説も多数上梓している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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skunk_c
77
『独ソ戦』以前の著者の本の1冊。本書の白眉は「はじめに」で著者自身がその意義を語っていた第3部。30年ほど前の学術論文で、内容にはかなりの重複があるが、1942年に日本が独ソ和平を仲介しようとしていた動き(失敗に終わる)について詳細にリサーチしたもの。様々なドイツや日本の関係者が登場し、後のスイス経由の日本の和平戦略にまで繋がるが、なんと石原莞爾から服部・辻コンビまで登場する。今まで色々この時代の歴史書は読んできたが、初めて知る内容で、著者の矜持ももっともだ。また『独ソ戦』に通じる世界観も確立されている。2024/06/11
スー
24
11第2次世界大戦における分岐点となった出来事の紹介と解説で知らない事柄もあって勉強になりました。日本に真珠湾攻撃の自信を持たせた英軍によるタラント空襲は浅い港での航空雷撃を成功させ、その技術を日本は調べ真珠湾攻撃用の魚雷を開発した。日本最初の機甲部隊は戦車歩兵砲兵を一体にして運用する知識を持たない者が指揮官に任命された事により解散され実用には至らなかった。珊瑚海海戦やミッドウェー海戦での偵察機の失態、偵察を軽視した結果大きな損害を出した、あと熟練の巡洋艦の水上偵察機を待機させ偵察経験がなく攻撃に必要な2024/03/26
のりっく@泡沫戦史研究所(ワクチンうってもマスク・手洗い・うがい励行!)
6
前著の「ドイツ軍事史」が売れたようで、異常な短期間で続編が発行されました。今回も「コマンドマガジン」に掲載された記事が中心ですが、「歴史街道」や「歴史群像」の記事もまとめられたとのこと。前著の「ドイツ軍事史」はおなじみのミリオタ的なコーナーにあったのですが、今回はなぜか世界史的なコーナーに置かれていてしばらく気が付きませんでした。タイトルのせいかな?2016/09/17
baron_yamaneko
3
ミッドウェイ海戦、ノモンハン、PQ17船団と様々な題材の戦史解説が採録され、著者がドイツ陸軍以外にも広い戦史知見を有することを示す。第3部の独ソ和平等の外交工作の話はよく知らない分野なので非常に面白かった。北アフリカ戦線の補給のことなどロンメル関係の章もあり、新書伝記の補完としても良さげ。2020/05/11
てっき
3
前半戦までは戦史を、後半は政治・謀略史に焦点が当たった短編で構成された一冊。分岐点、とはあるが、それぞれの事例で何を以て分岐がなされたのかの記述はあるが、それが何と何を分岐させたのか、ポイントはどこだったのか、については曖昧としている印象(元々雑誌連載の記事をまとめた故にしょうがないのはあるでしょう) いずれにしても、通説と資料を基にきちんと論述してくれるので、WWⅡに関する戦史書籍としての価値は大と思います。2019/07/12