出版社内容情報
藪亨[ヤブトオル]
内容説明
十九世紀における美術工業運動、装飾芸術と美的ユートピア、近代美術工業とデザイン、デザインとメディア…こうした一連のテーマをめぐって近代の西欧と日本に現れるデザイン運動について、その意義と成果を直接に掘り起し、デザイン史の歴史、理論、批評の可能性に迫る。
目次
序章 デザインとデザイン史
第1章 十九世紀における美術工業運動
第2章 装飾芸術と美的ユートピア
第3章 近代美術工業とデザイン
第4章 メディアとデザイン
終章 デザイン史の課題
著者等紹介
籔亨[ヤブトオル]
1943年、香川県生まれ。74年、京都工芸繊維大学大学院工芸学研究科修士課程修了。87年~89年、塚本学院海外研修員としてダルムシュタット専門大学造形学群に留学。大阪芸術大学教授を経て、同名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
36
モリスが装飾芸術の道を歩み始めるのは、『赤い家』が発端。モリス・マーシャル・フォークナー商会の創設。芸術家の共同活動と芸術家による不断の製作監督で、自国の装飾芸術を低迷から救おうと願った(109頁)。自由、平等、同胞愛が実現し、貧困から解放され、不平等な生活が是正され、生活が再び簡素になる必要があろう。このモリス講演(1877年)には、倫理的で美的な理由からの時代への反抗だけでなく、新たに政治的な要因が加味され、芸術的社会主義の精髄がすでに明らかにされていた(115頁)。2017/01/22