内容説明
『エトワール広場』は、モディアノが22歳で発表した“衝撃のデヴュー作”であり“最大の問題作”である。ノーベル賞の授賞理由である「ナチ占領下の世界の人生を描き出した“記憶の芸術”」とは本作を対象とする。「仲間を裏切ったユダヤ人」の息子として生まれた精神不安、アイデンティティの危機、そして、レジスタンス神話による「抵抗したフランス」の嘘、ナショナルヒストリーによって忘却されていく人々の人生…。モディアノ文学の核心・問題意識のすべてが、鮮烈に描き込まれている。翻訳不可能とも言われてきたが、ついに翻訳が完成した。第2作『夜のロンド』も併載/詳細な“解説”“訳注”“関連地図”付き。ノーベル文学賞受賞作(2014年)
著者等紹介
モディアノ,パトリック[モディアノ,パトリック] [Modiano,Patrick]
1945年7月30日生まれ。「生存する最も偉大なフランス作家」と称される。1968年、22歳で発表した『エトワール広場』でデヴュー。1972年『パリ環状通り』でアカデミー・フランセーズ大賞、1978年『暗いブティック通り』でゴンクール賞を受賞。2014年、ノーベル文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
126
『エトワール広場』若さゆえの怖いもの知らず、世間への皮肉、未熟さが迸る。これでもかの知識の羅列。ユダヤ人であるからの劣等感と同族に対する劣等感。胸を掻き毟しるほどであろう痛みや叫びが行間から飛び出す。『夜のロンド』再読。密告者。仲間をうるユダヤ人も、ドイツのために働くフランス人も。逃げおおせてしてやったりか、それに罪悪感が勝つか…。20年前に、モディアーノのバックグラウンドを知らないまま拙いフランス語で読んだ時の方が主人公の胸の苦しさを共有できた気がした。収録2作ともに 訳が、 そして印刷のされ方が酷い。2018/02/12
ソングライン
16
ドイツ軍占領下のパリで、文学者を目指した青年が次第に堕落し、人買いの手伝いからナチス協力者として生きて行く様を描く「エトワール広場」、ナチス協力者のスパイとしてレジスタンス組織に潜入、2重スパイとして苦悩する「夜のロンド」。モディアノの初期2作品は数多い歴史上の人物名、パリの地名、実在するのか不明な登場人物や設定が入り乱れ、読み進めるのに覚悟がいる読書となります。2023/04/18
推理中心
1
和訳が読みづらい。フランス語を勉強して原文が読めるようになりたい。2019/08/20
nranjen
1
しっかり読んでなくて申し訳ないのですが、文字が多い。余白が少ない。▼が気になる。もうちょっとゆったりした作りで2作に分けてもらえた方が読みやすいと個人的に思う。情報量はすごい。私の好きなような作品を描く前にこんなモディアノがあったということは驚きだった。1968年に発表されたという内容も。2016/12/13
ほしいもアボカド
1
畳み掛けるような言葉の羅列=時代の気運2016/02/01