内容説明
20世紀初頭、プラグマティズム運動は何と闘ったのか?混迷する21世紀を打開する思想となりえるのか?日本で初めて最重要論文を1冊に編纂。画期的な基本文献集。本邦初訳を含む、全17論文を新訳。
目次
第1部 プラグマティズムという言葉の登場(パースのプラグマティズム(一九一六年)(デューイ)
哲学的概念と実際的効果(一八九八年)(ジェイムズ) ほか)
第2部 パースのプラグマティズム(人間に生得的に備わっているとされてきた諸能力についての問い(一八六八年)(パース)
四つの能力の否定から導かれる諸々の帰結(一八六八年)(パース) ほか)
第3部 プラグマティズムの展開(アメリカにおけるプラグマティズムの展開(一九二五年)(デューイ)
信ずる意志(『信ずる意志』第一章)(一八九七年)(ジェイムズ) ほか)
解題 プラグマティズムの百年後(植木豊)
著者等紹介
植木豊[ウエキユタカ]
慶應義塾大学経済学部卒。会社勤務等を経て、ランカスター大学大学院において、ボブ・ジェソップとジョン・アーリーに師事し、PhD取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
25
デューイ(1916年): 信念は習慣を規定し、平穏で満足のいくもの(018頁)。パース(1868年): 意欲は、注意を集中させる能力、抽象能力にほかならない(84頁)。パース(1877年): 疑念という刺激は、信念に達しようとする奮闘努力の唯一直接的な動因(152頁)。 パース(1878年): 信念とは、知的生活というシンフォニーにおいて一つの楽句を終了させる半終止(177頁)。パース(1905年): 信念とは心の習慣で、一定期間継続する。意識されない習慣で、自己充足的(209頁)。 2015/04/29
roughfractus02
3
哲学は別次元への超越や過去への遡行に留まらない。プラグマティズムは未来へ向かう行為を探求する。が、パース、ジェイムズ、デューイの論は三者三様だ。デューイは、ジェイムズが個別的で具体的な事例から未来の経験を捉えようとしたのに対し(単称命題)、パースは未来に確定可能な意味を一般的、習慣的な行動様式(純粋存在命題)から捉えたとし、パースに抗して実在性一般を否定する自説を述べる。本書は、プラグマティズムなる言葉が使用された状況から始まり、後期パースを中心にその後シェイムズとデューイが展開する重要論文が収録される。2017/08/30