内容説明
“夜を連れて”現われたベール姿の魔性の女「未亡人」とは何者か!?彼女に調査を依頼された街の大立者「ミスター・ビッグ」の正体は!?そして「君」と名指される探偵フィリップ・M・ノワールの運命やいかに!?ポストモダン文学の巨人による、フィルム・ノワール/ハードボイルド探偵小説の、アイロニカルで周到なパロディ!
著者等紹介
クーヴァー,ロバート[クーヴァー,ロバート] [Coover,Robert]
1932年生まれ。アメリカのポストモダン文学を代表する小説家
上岡伸雄[カミオカノブオ]
1958年生まれ。アメリカ文学者、学習院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
52
ポストモダン小説の第一人者による、ハードボイルド映画の定形を踏まえておちょくるスタイルの小説。『フィリップ・M・ノワール』!と言う探偵の主人公は、謎の魔性の女からの依頼を受ける…… しょっちゅう後頭部を殴られて記憶を失うせいか、物忘れがひどく推理力もよくない。女にはやたらにもてるがひどい目にあうばかり。しっかりものの女性の助手と街のあやしげな連中、とテンプレキャラばかり。ブコウスキーの『パルプ』を想定してたがずいぶん違う。円城塔作品っぽいといえばわかりやすい。主人公の二人称視点小説。2016/03/23
くみこ
13
初読み作家さん。パロディの名手で、ポストモダン小説の巨人と称されているそうです。主人公は探偵のフィリップ・M・ノワール。フィリップ・マーロウのパロディですね。謎めいた喪服の美女、不潔な路地裏、悪徳警官に黒幕、酒とドラックに拳銃に死体、なんでも出てきます。ハードボイルドですから。探偵は とことん陳腐で下品です。パロディなので。それでも、消えた死体の謎と黒幕の正体は、時系列を前後しながら結末へと向かい、ふざけているばかりでもありません。往年のハードボイルドに詳しい方なら、さらに楽しめるかも。2018/02/07
Ecriture
12
レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウを代表とするハードボイルドミステリーやノワール映画を徹底的にパロディ化した作品。主人公の名前がフィリップ・M・ノワールですからね。忘れっぽくてまぬけで推理力を持ち合わせない探偵が、ファム・ファタールに翻弄されながら消えた死体とミスター・ビッグなる黒幕を追跡する。断片的で、非時系列の語りは読者の細心の注意を要求するが、きちんと整理しながら読めばとても読み応えのあるミステリー小説である。クーヴァーは2010年にポストモダン的なパロディを続ける稀有な作家だ。2016/01/10
hikarunoir
10
小説より黒片寄りクリシェに則りパロ展開されるがポストモダンで「パルプ」とは対極。人称と時制で実験文体に読まれる気になり下品さが余り笑えない。2021/10/08
バナナフィッシュ。
5
何だろうな、この感覚。多分のっけの初めから、作者は読み手をたぶらかすつもりで書き始めたのだろう。全てが虚構で、しかもやる気が感じられないぐらい脱線に脱線を感じる。何だか、同じところをぐるぐる回らされ、その終わりにお疲れ様の一言もなしに返されたみたい。ポストモダンなのは分かるけれど、そういう方向の書き方は求めてなかった。実際のところ。2018/07/28
-
- 洋書
- Chinnamastha