内容説明
今日我々が知っている黙示録には、二人の書き手の文章が混在している。ギリシャ語の語学力、著作の目的、主題、質、そして人間の品性のまったく異なる二人の書き手の…。徹底的かつ綿密な検証作業を経て、世界で初めてその真の姿を明らかにした、画期的な「黙示録」!
著者等紹介
田川建三[タガワケンゾウ]
新約聖書学者。1935年東京にて生(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
9
誤解を恐れず言うと、本書は新約聖書のマルクス主義批評なのだと思う。吉本の『マチウ書試論』みたいな(もちろん、雑な言い表し方なのは承知の上で…)▲田川は、厚塗りされてきた黙示録の護教的な解釈を徹底的に洗い直す。黙示録はひとりの人物によって書かれたのではない。まずローマ帝国を強く非難する文書があり、そして他の誰かが稚拙で乱暴で破滅的なたわごとを多く加筆したのだ。後者は単に書き手が幼稚で下手くそなだけである。英語に置き換えると、 the being comes. はよいが、the was was. は意味不明2017/11/23
Tonex
9
最初から全部読もうとしても途中で挫折するのが目に見えているので、著者のサイト「田川建三からのお知らせ」に掲載されている「読書案内」を印刷して、それを参考にしながら、重要な部分のみ拾い読み。▼この本の内容を鵜呑みにしてはダメな気もするが、なるほどと思える指摘が多い。謎解き本として最高に面白い。黙示録のイメージががらりと変わる。2017/09/29
Tonex
8
13年かけてついにシリーズ完結。著者の年齢や体調の件もあり、完結しない可能性もあると思っていたので、この本を手に取ることができ、素直にうれしい。とりあえず解説と後書きのみ読んだが、非常に挑戦的な内容。著者の公式サイト「田川建三からのお知らせ」にもいろいろ経緯が書かれてあって興味深い。2017/09/01
maqiso
4
言語的にも内容的にも2人の著者がいるという。原著者はローマ帝国の経済支配が打ち砕かれあらゆる民族が渇くことのない世界に生きる幻想文学を書いた。ローマ中央の勝手な政策によって農作物が高騰したという批判を、マルクスの経済理論とも紐付けて解説していて面白い。編集者は排他的なユダヤ主義で、異邦人が破滅する場面や拙い決まり文句を何カ所も加筆した。加筆部分の方が後世に強い影響を与えている。注釈は余談も含めて面白いが、流石に長い。2023/10/08
MatsumotoShuji
2
田川聖書遂に完結! 最終巻もなかなかのインパクト。田川先生が言うには、ヨハネ黙示録とは、比較的まともな穏健派クリスチャンが書いた預言書に、品性下劣なバカが好き放題書き加えて出来上がったものらしい。ローマ帝国の政治システムの崩壊を願う原作(そこでは皇帝さえもがシステムの一部として同情的に扱われている)が、改竄されて世にも醜悪なジェノサイド文書となった。結論としては「バカが書いたんだからバカげているのは当然」。昔、深読みを試みたりしたけれど、なるほど、どう読もうが支離滅裂だったのはそういうことだったわけね。2021/05/03
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