目次
第1章 なぜ金融恐慌は起こったか?
第2章 どのように資本は集められるのか?
第3章 どのように資本は生産をしているか?
第4章 どのように資本は市場を通るのか?
第5章 資本主義発展の共進化
第6章 資本の流れの地理学
第7章 地理的不均等発展の政治経済学
第8章 何をなすべきか?誰がなすべきか?
ペーパーバック版あとがき 恐慌の反復か、資本主義からの転換か
日本語版解説 「資本の謎」の謎解きのために
著者等紹介
ハーヴェイ,デヴィッド[ハーヴェイ,デヴィッド][Harvey,David]
1935年、イギリス生まれ。ケンブリッジ大学より博士号取得。ジョンズ・ホプキンス大学教授、オックスフォード大学教授を経て、現在、ニューヨーク市立大学教授。専攻:経済地理学。現在、論文が引用されることが、世界で最も多い地理学者である。著書『資本の“謎”―世界金融恐慌と21世紀資本主義』で『ガーディアン』紙の「世界の経済書ベスト5」(2011年)に選ばれ、また「ドイッチャー賞」を受賞
森田成也[モリタセイヤ]
駒澤大学非常勤講師
大屋定晴[オオヤサダハル]
東京農工大学ほか非常勤講師
中村好孝[ナカムラヨシタカ]
滋賀県立大学人間文化学部助教
新井田智幸[ニイダトモユキ]
東京大学大学院経済学研究科博士課程(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Rusty
2
国家-金融結合体による金融支配から脱却するオルタナティブ形成のために、資本主義の歴史と地理的不均等発展を、前半は恐慌論、後半は資本主義共進化の7つの断面から描き出している。自由や権利、環境といった感情的になりがちな問題に対しあくまで経済上の要素・事例として接して(著者の考え一方向でしか触れていないとも言えるが)深入り・寄り道していない点が成功しているように思う。もちろんハーヴェイらしく革命に関しては感情的だが。2012/12/03
黒猫
2
概要 著者はリーマンショックにおける金融危機の原因を切り口に、新自由主義における資本主義の市場原理主義的発展の持続不可能性について分析し論じている。根拠として新自由主義的資本主義の抱える自己矛盾的な性質及び土地/空間的制約を引き合いにだし、この閉塞的状況を打破する為に我々は反資本主義的目標を明確かつ広く共有し行動すべきであるとしている。 感想 丁寧に資本主義の歴史的背景から説明されており現在我々がなんとなく感じているであろう「資本主義の限界」を解説した良書。2012/11/24
むっち
2
資本論入門を読む前に、こちらを先に借りられたので、一読。資本が国家を越えてその運動を展開している今の状態に対してそれを個人の権利を保障する制度への変革する有効な手段はあるのか。資本が恐慌を繰り返しながら、恐慌による破壊を場所をかえつつ、展開している。著者によると中国もまた資本の運動に翻弄されており政治的自由を侵害している国家であり、改革すべき対象だ(共産主義の国家ではない)。共産主義者とは、いかなる特殊な政党を持たない(共産党宣言)。現実の収奪と侵害されている人たちのために誰が何をなすべきかです。2012/07/09
ひろゆき
1
1970以降の恐慌の頻出のメカニズムとそれをどうにか乗り切った資本の動き、それに翻弄される労働者。私の人生を振り返り、ああたしかにあのときはそのようなことがと思うこと多し。特に、民営化、自己責任論を柱とした新自由主義のいかさまは今でも日本で続く。幅広く世界情勢が描かれていて、インドネシア等々まったく私には知らないことがいっぱい、それだけでも読む価値あった。逆に理論的な新味はあまり感じなかったが。後半はアジ演説の連続のようで、私は興奮。2020/02/27
いたる
1
やはり地理学部分が白眉。運動論としては特に目新しいものはない、というかそこまで求めるのは酷か。2012/12/20