内容説明
日本の伝統演劇と現代芸術を過激に横断した前衛演出家、反権力とエロティシズムに徹した映画監督、その驚くべき営為の全貌。生誕百年記念。中村富十郎、茂山千之丞、坂田藤十郎、川口小枝による、貴重な証言を収録。
目次
武智鉄二の世界と前衛性
武智鉄二と能狂言
武智鉄二と前衛美術
武智鉄二と文楽
映画監督武智鉄二
『源氏物語』の映画化
武智鉄二と伝統芸能
歌舞伎のルーツと方程式
閉鎖的な世界に風穴を開ける
武智鉄二という人
武智歌舞伎で教わったこと
父・武智鉄二を語る
著者等紹介
岡本章[オカモトアキラ]
1949年奈良県生まれ。明治学院大学文学部教授。早稲田大学第一文学部演劇科卒。専門は現代演劇・能研究。演出家。1971年より錬肉工房を主宰する
四方田犬彦[ヨモタイヌヒコ]
明治学院大学文学部教授。映画史・比較文化専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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がんちゃん
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武智鉄二の仕事は、評論から始まって、歌舞伎、能、狂言、文楽、オペラ、現代演劇、現代美術、現代音楽、映画と、まさに多様なジャンルと関わりを持って行われた。しかもその底辺にあるのは本物主義。本物に接し、本物を探求し、本物を学んだ上での前衛的な作品を作り上げてきた。ゆえにけっしてその場だけの目新しさや珍しさを狙ったわけではない。古典(=本物。名人)に裏打ちされているからこその前衛。まさに「伝統とは前衛であり、前衛とは伝統である」、そのことを身をもって体現したのが武智鉄二その人だったのだ。2015/03/28