内容説明
ヨーロッパの人気No1の女性作家が、日本で生まれ育った記憶を、抱腹絶倒、奇想天外に描いた傑作小説。
著者等紹介
ノートン,アメリー[ノートン,アメリー][Nothomb,Am´elie]
1967年、駐日ベルギー領事の娘として神戸に生まれ、5歳までを日本で過ごす。以降、父親の転勤にともなって、中国・ニューヨーク・バングラデシュ・ビルマ・ラオスを転々とし、17歳の時にベルギーに帰国。23歳で再び来日し、大手商社に1年間勤務。1992年に出版した処女作『殺人者の健康法』で、フランス文壇に衝撃的なデビューを果たすと、以後、発表する作品はすべてベストセラーとなり、数々の文学賞に輝いている
横田るみ子[ヨコタルミコ]
1974年、埼玉県生まれ。清泉女子大学英文科卒業。日本の航空会社を経て、2001年より欧州の航空会社に勤務。ウィーンをベースに10年間、国際線に乗務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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凛
15
新年早々凄いものに出会った。筆者の0-3歳までの自伝。世界は現実のそこここに存在し見えも触りも聞こえもするのに、まだそれの法則を知らず夢の中を生きるような感覚。自分なりの考えを持って行動しても何かがおかしかったらしく、親に笑われ可愛いと言われ理不尽さを噛み締めた遠い遠い記憶を思い出す。たぶん私にとって世界の意味はあの頃とさして変わっていない。文体は機知に富み美しさすら感じられる。帯に『抱腹絶倒』とあるがそうなんだろう。幼児が最初に口に出す単語をどれにするか思案してるのは実にシュール。唯一無二な作品。2014/01/08
ジュール リブレ
11
不思議な フワフワした本でした。そりゃそうか。3歳までの子供の自伝なんだから。でも、神さまの生まれ変わりで、チューブで、語学に不自由なく。。。 好き嫌いが分かれそうな本でした。日本を舞台、っていうのもあまり関係ないですが、本人が日本生まれ、だそうなので。2011/11/22
新田新一
7
自分は子供の頃チューブだったという女性が主人公の物語。チューブは空っぽなので、何もしないで横たわっています。やがて彼女は自分の意識を持つようになるのですが、社会に適応すると言うより、自分の思うままに生きる方を選びます。本当に風変わりな小説で、こんな奇妙な物語はこれまで読んだことがありません。人間という存在はいったい何なのかという問いが、小説の中に織り込まれています。日本の文化が絶賛されており、日本人はくすぐったい気持ちになります。最後で主人公は再び無を経験し、生の儚さを実感します。この構成が見事です。2023/07/24
里馬
7
奇ッ怪で面白い。とても妙な作品だった。3歳までの自伝小説、とあるが素敵な感性。感情の薄い赤ん坊を「食べて排泄するだけのチューブ」と捉えたのも。愛情深い両親に、(取れる言動の少ない状態で)大立ち回りするのも。…メアリーじゃないのか。2012/10/26
rinakko
6
面白く読んだ。日本で生まれ育った作者が、かつての幼き日々を振り返って描いた小説。なのだが、よもや0歳から3歳までの自伝とは…。生まれた時からして既に、並々ならぬ存在(全く、普通の赤ん坊ではない!)であったことがみっちりと書き込まれているので、思わずにやにやしてしまった。揺りかごで過ごす始めの段階をチューブと名付けたり、3歳までの自分を神と呼ぶ…その辺りの理屈は流石の痛快さである。日本式の庭を深く愛し、いつも庭や水の中にいることを好んだアメリー。彼女が憎悪したものは鯉…。2011/11/14