内容説明
ママを亡くしたあたしたち家族の世話をしにやってきたフローおばさんは、死んだ人を清めて埋葬の準備をする「おとむらい師」だった…。19世紀半ばの大草原地方を舞台に、母の死の悲しみを乗りこえ、死者をおくる仕事の大切な意味を見いだしていく少女の姿をこまやかに描く感動の物語。
著者等紹介
エルスワース,ロレッタ[エルスワース,ロレッタ][Ellsworth,Loretta]
元教師で四児の母。ミネソタ州レイクビル在住
代田亜香子[ダイタアカコ]
神奈川県生まれ。立教大学英米文学科卒業後、会社員を経て翻訳家に(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
61
素晴らしい本でした。19世紀半ばのアメリカで、ドイツ移民だった父の姉フロー伯母さんは「とむらい師」という「死者に対する最後の聖なる務め」をおこなう人だった。謝礼を受け取ることもなく、聖なる務めとして役目を果たす。大好きだった母を亡くし、手伝いにやってきた伯母に反発するイーヴィでしたが、伯母さんの無償の愛、人間性に触れるうちに尊敬するようになり、自らも「とむらい」の助手を務めるまでに成長していきました。死者をひとりにしないで見守る通夜の意義を再確認できました。2016/10/25
はる
51
19世紀半ばの大草原を舞台にした家族の物語。母親を亡くしたばかりの少女の家にやってきたフローおばさんは、死んだ人を清めて埋葬の準備をする「おとむらい師」でした…。母親への想いと「おとむらい師」という仕事の嫌悪感からおばさんに反発してしまう少女ですが、おばさんの優しい人柄と崇高な仕事に次第に魅かれていきます。児童文学らしい優しい物語。素朴な生活描写も魅力的で、「大草原の小さな家」を思い出しました。2016/09/16
星落秋風五丈原
39
アメリカ西部版おくりびとを叔母に持つ少女が、最初は彼女に反発しつつも次第に心を寄せていく様子が丁寧に描かれる。2016/05/09
花林糖
19
(図書館本)イメージは「大草原の小さな家」で、舞台は19世紀半ばのミネソタ州。母親を亡くしたばかりの姉妹と、母親代わりのおとむらい師の伯母。フロー伯母さんを受け入れたくない、長女イーヴィの心の痛みが切なく辛い。YAなので嫌なドロドロもなく読み心地は良好。フロー伯母さんがとても素敵でした。(中古入手)2016/07/30
ぱせり
18
何かを乗り越えて子どもたちは大人になっていきますが、この物語では、死を受容することを通して、少女は成長します。死と生とを同じ重さで受け入れること。それが、大人になる、ということのひとつのプロセスなのだ、ということを、静かに見せられたような気がします。2010/07/19