内容説明
私は女を愛する女だ。それが蜜のように顔を濡らす涙の源泉―レズビアンに“なる”ことへの恐怖が恋人の愛を拒絶する。女性への愛情と欲望、そして激しい自己否定…。台湾レズビアン文学の記念碑的作品。
著者等紹介
邱妙津[チウミアオチン]
台湾の女性作家。最初の長篇小説である『ある鰐の手記』は、1994年に台湾の時報文化出版社から刊行され、翌年10月に「一九九五年時報文学奨推薦奨」を受賞した
垂水千恵[タルミチエ]
1957年、高松生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。博士(人文科学)。専門は台湾文学および日本近代文学。現在、横浜国立大学留学生センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
神太郎
10
セクシュアルマイノリティを題材にしたシリーズの第1弾。大学時代に買った。同性愛者の物語だが、自分らしく生きるという感じの前向きなものというよりも、台湾国内での同性愛者の生きづらさや、葛藤などが描かれており、なかなかに考えさせられる1冊である。著者はすでに25歳の若さで亡くなっている。近々の作品を読めないのが悔やまれる。2012/06/26
takizawa
6
台湾セクシュアル・マイノリティ文学という極めてニッチなシリーズの第一巻。1980年代後半の民主化とともに台湾ではゲイ文学が大流行したが、本作品はその中でも金字塔的存在となっている(らしいよ!※伝聞)。本作には2つの大きなストーリーラインがあり、1つは主人公の手記、もう1つが戯画化された鰐をめぐる挿話である。前者の手記は主人公の不安定さがよく分かるが、悪く言えばあまり洗練されていないという評価になるだろう。対して後者の鰐の挿話は台湾におけるLGBTの立ち位置を適格に描写したといえる。2016/08/21
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3
ちょっとタオ・リンの『イー・イー・イー』を思い出した。2017/10/01
みつえもん
2
レズビアンである主人公と、ゲイの友人の話。相手のことを本当に愛しているのに、同性愛という壁に苦悩してしまう描写が多く、当時の同性愛という社会的タブーの重さを改めて実感した。もう一度読み返したい。2024/09/03
みかん上級大尉
2
こんな凄絶な文章を書ける著者は何者だろうと思って調べたら、この小説を世に出した後自殺していた どれほどの絶望を負っていたのだろう2020/02/10
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