内容説明
イラン随一の論客が、近代イラン200年の歴史を丹念に追い、西欧からの視線によって捏造された被殖民国の歴史、「近代性」と「伝統」との対立という幻を払拭する、政治/文化史の決定版。植民地近代性を問い直す画期的好著。
目次
1 国境を持たない国々
2 植民地主義的近代性の夜明け
3 立憲革命
4 パフラヴィー朝
5 イラン・イスラーム革命
6 復興と改革
7 イスラーム・イデオロギーの終焉
著者等紹介
ダバシ,ハミッド[ダバシ,ハミッド][Dabashi,Hamid]
1951年、イラン南部アハバーズ生まれ。テヘランで高等教育を受けた後、1976年に渡米。ペンシルヴェニア大学で博士号を2つ取得(文化社会学とイスラム学)。1989年よりコロンビア大学教授。現在、同大学中東アジア言語・文化学部長、ハゴップケヴォーキアン近東研究センター教授。近年は中東問題の論客として活躍する他、イラン映画を英語圏に紹介する仕事にも積極的に携わっている。1990年、Authority in Islamで米国出版社協会宗教・哲学書部門最優秀賞、2000年、Truth and Narrativeでコロンビア大学ライオネル・トゥリリング賞
田村美佐子[タムラミサコ]
翻訳家。上智大学大学院文学研究科英米文学専攻博士前期課程修了
青柳伸子[アオヤギノブコ]
翻訳家。青山学院大学文学部英米文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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てれまこし
4
イラン近代化における政教分離の問題について知りたかったが、著者は世界主義者であって、宗教にはあまり興味がない。そうではなく、西洋かイスラムか、近代か伝統かという二項対立の外に出るために、二つの土着主義(欧米の近代主義とイランのイスラム主義)に対抗する世界主義的政治文化の存在に焦点を当てようとする。そこで文化英雄たち(詩人、文筆家、映画監督など)が毛沢東・チェ・ゲバラばりのゲリラ戦術の尖兵として役割を与えられる。むしろ、非西洋知識人の方が普遍性に近いのだ。サイードばりのグローバル知識人の自慰感もなくもない。2019/07/24
可兒
1
レポート用に再読2010/07/18
可兒
1
相変わらず欧州万歳視点てんこ盛りの中東史観に、物申している感が強い2010/04/16
メルセ・ひすい
0
10. 09 対 フクヤマ 歴史の終わり とヘーゲルの理解。 ・ハンチントン 「文明」どうしの葛藤の時代に入った・・・ ★小生⇒これから30年かかってイスラムの女性の識字率が上がり耶蘇教と同等の知識水準になれば、変化が訪れる・説を 採る! 耶蘇教世界とイスラムと同レベルで対比するのは× 中国でいえば年収のまん中の中国人を採り中国を語れ!ということる ・イラン随一の論客である著者が、近代イラン200年の歴史を丹念に追い、西欧からの視線によって捏造された観念が偏見を生んでいるという。2008/05/30
み
0
欧米、イラン、どちらも抱えている矛盾について、なるほどなと思う箇所が沢山あった。背反という言葉がいい。 ちょくちょく映画や文芸作品も紹介してくれて楽しい。 しかし長い。笑 イラン現代史を理解するのにとてもいいと思う