内容説明
ヤコブ書の先鋭なパウロ批判、旧約とキリスト教の矛盾関係に誠実に取り組んだヘブライ書―従来、看過されがちだった文書を精確に解き明かす。他方、キリスト教の大きな負の遺産となってきた第一ペテロ、第一ヨハネ書簡の実態も正直に解明!
目次
本文の訳(ヤコブ書簡;ペテロ書簡;ユダ書簡;ヨハネ書簡;ヘブライ人へ)
本文への註(ヤコブ書簡;ペテロ書簡;ユダ書簡;ヨハネ書簡;ヘブライ人へ)
著者等紹介
田川建三[タガワケンゾウ]
新約聖書学者。1935年東京にて生(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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松本直哉
26
今まで何を読まされてきたのだろう。音楽の演奏と同じように翻訳も、原典を自分勝手に歪めるものもあれば全く新しい視野を与えてくれるものもある。本文の何十倍もの膨大な註で先行訳を完膚なきまで批判しながら、ヤコブの手紙の過激性、信仰によってのみ義とされるというパウロの教えを真っ向から否定し、いや行為こそだいじなのだ、目の前にいる寡婦や孤児を助けよと説き、古代資本主義に抑圧される不払い労働者の叫びを代弁するヤコブの舌鋒の鋭さを明らかにしていくとき、この書簡が現代の我々にも生々しく訴えかけてくることに気づく。2020/12/08
MatsumotoShuji
2
いつもながらのすさまじい量の注釈。特に今回はヘブライ書で旧約聖書まで踏み込んだために一段とボリュームアップ。で、罵詈雑言の嵐も今までどおりで、中でも巻末の解説は超過激。「第一ペテロ、第一第二ヨハネの三文書は、新約中で、ないし古今東西知られている古代の文書全体を見渡しても、最低の文書である」だって。この本に限っては解説から先に読んだ方が面白いかもしれない。2020/08/01