内容説明
10年に及ぶ交流で見知った様々な男たち。来歴・心情・家族・抗争・失踪…過酷な血の掟。密着取材という稀有な体験を通して現代ヤクザの実態を暴く瞠目の実録小説。
著者等紹介
ラズ,ヤコブ[ラズ,ヤコブ][Raz,Jacob]
1944年生まれ。テルアヴィヴ大学卒業。来日して禅寺で修行の傍ら早稲田大学で博士号取得。現在、テルアヴィヴ大学東アジア研究科教授(ヘブライ大学兼任)。東京外国語大学客員教授として度々来日、民俗芸能、瞽女、大道芸などの周縁文化を研究。日本文化論、禅研究、文化人類学関連の著作を発表するほか、漱石、遠藤周作、俵万智などの作品を英語、ヘブライ語に翻訳紹介する。2006年日本政府より「旭日中綬褒賞」受賞
母袋夏生[モタイナツウ]
長野県生まれ。ヘブライ大学文学部修士課程実用言語コース修了。出版社勤務を経て、ヘブライ文学翻訳に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tom
15
三浦しをんさんの書評本を読んで、図書館に注文。イスラエルの文化人類学者が、ヤクザの研究をするために、ヤクザのボスの懐に入り、いろいろとお話を聞くという流れの本。社会の正道?から外れた人たちを受け入れる場所としての任侠の世界という理解をしている。でも、彼が話を聞いたのは、中流~上級のヤクザ。ここで生きていくことができる力のある人たち。ということは、力のない者は、どこで生きていけばよろしいのかという疑問を。しをんさんのお勧め本だけど、誉めるべき本なのかどうか、私には分からない。2020/01/19
秋良
11
一般社会からはみ出してしまった人たちの最後に辿り着く先が、ヤクザになること。差別が人を裏社会へ追いやる大きな理由の一つであることを考えると、今の日本の状況はあまり良いとは言えない。細かいことですが、山谷にも警察はあります。東浅草にマンモス交番が。2019/01/07
いづむ
3
三浦しをんさんがどこかでお勧めされていたのを見て読みました。彼らのしている事を肯定はできないけれど、義理とか兄弟関係とか人間関係に関わる美学のようなものには感じ入るものがあります。でもそれも闇社会も「国際化」するにつれてなくなってきているんですねえ。文体に慣れるのに少し時間がかかりましたが、ぐいぐい読めました。2013/05/26
maiko
2
【図書館】三浦しをんさんが書評で取り上げていたのを読んで興味を持ち借りた。彼らが作者に語る本音は共感性が非常に高く読みながら痛くて辛くて仕方なかった。人はうまれを選べない。だとしてもどう生きていくかは自分次第だなどと言われるがそれほど簡単なことではない。2012/10/14
葛
0
2007年12月20日第1刷発行 著者:ヤコブ・ラズ 訳者:母袋夏生 発行者:髙木有 発行所:株式会社作品社 装丁者:小川惟久 本文組版:米山雄基 印刷・製本:(株)シナノ 協力:四方田犬彦2019/10/26