内容説明
日本敗戦後、オランダとのインドネシア独立戦争に身を投じた元日本兵たち。彼らはなぜ、帰国しなかったのか。“英雄譚”としてでなく、“悲劇の主人公”としてでなく、残留日本兵の等身大の姿を、徹底的なフィールドワークと貴重な一次史料の駆使によって初めて描き出す。歴史の闇を照射し、日本人の歴史観の変転を促す画期的論考。
目次
序章
第1章 北から南へ
第2章 新世界
第3章 独立戦士の誕生
第4章 戦渦の足音
第5章 日本人特別遊撃部隊
第6章 ウントゥン・スロパティ十八部隊
第7章 生きて来し道
終章 残留日本兵神話の終焉
補論 アジアの残留日本兵
著者等紹介
林英一[ハヤシエイイチ]
1984年三重県生まれ。2007年慶應義塾大学総合政策学部卒業。現在、慶應義塾大学大学院経済学研究科経済学専攻修士課程在学中。専門領域は歴史学、地域研究。慶應義塾大学「平成17年度塾長賞」・日本学生支援機構「平成17年度優秀学生顕彰事業」学問分野奨励賞、「平成18年度優秀学生顕彰事業」学術分野大賞受賞など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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豊中 平八郎
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知らなすぎたので、どちらかと言うと枝葉の話しながら読了。60年余前まで銃火を交えて戦っていた人々がいることを知っておくべき。“歴史”なんだけど年代的には陸続きの現実ですから。2010/08/29
Ahmad Todoroki
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数あるインドネシア残留日本兵についての本の中で、もっとも実証的な労作。本書のように一次資料を駆使した本はほとんどなく、多くは戦後何十年も経ってからの残留日本人本人の回想なので、過去の美化や自己正当化から逃れえなかった。「真実」という書名はともかく、本書は学術的にも高い水準にあると思う。続編と併せてお読みください。
furu_sato_sf
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インドネシアに残留した日本兵の戦後について、一次資料をベースにまとめた貴重な内容。日本敗戦後のインドネシア独立の流れにも触れるとともに、共和国軍内での実際の活動についての記述もあり、読み物としても面白い。「残留日本兵神話」を終焉させるというのが、著者の意図であるとのことだが、主人公についても最初は「アジア解放」という理念に共感しつつも、最終的にはそのようなイデオロギーは残らなかったのではないかという考察が印象的であった。2018/05/15