現代小説の方法

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  • サイズ B6判/ページ数 237p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861821127
  • NDC分類 901.3
  • Cコード C0095

内容説明

いま、小説はいかに可能か。壮大な物語世界を背景に、現代文学の異形の巨人が語る小説作法。知られざるパリ講演「三島由紀夫をめぐって」を含む、中上絶頂期の単行本未収録発言。

目次

現代小説の方法(小説を阻害するもの;主人公について;構造について;場所について)
ワープする物語の魅力
三島由紀夫をめぐって
エスパース・デポック図書館 中上健次氏の本棚―物語/反物語をめぐる150冊

著者等紹介

中上健次[ナカガミケンジ]
1946~92。小説家。『岬』で芥川賞。『枯木灘』(毎日出版文化賞)など

高澤秀次[タカザワシュウジ]
1952年生まれ。文芸評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

スミス市松

22
著者が唯一遺した文芸評論「物語の系譜」の連載と同時期に行われた公開講座を収録。実況中継本なので平易で分かりやすく、難解な同評論を読む上で参考になる。内容としては目新しいものはないが、オイディプスの問題から物語/語り部/主人公の権力関係、路地=トポスとうつほ、さらには路地解体と産業革命以後の小説の困難など、著者の数々の問題意識が“ひとつなぎ”であることを再確認した。世界各地で差別を嗅ぎ取る嗅覚とそれを無辺に膨らませる想像力、そしてそれを自らの傷への応答=小説に結びつける隠喩力、結句これに尽きるのではと思う。2015/04/29

袖崎いたる

12
鼻につく選民口調(戦略的にわざとそうしているのかしら?)と、命題を読み取りにくい口語文での「中上健次自身による中上健次」みたいな講演集。彼が物語論を意識して物語を作っているという、物語原型に自覚的な作家であったことが読み取れた。また、<物語>を世界精神的なものと考えているのか、中上は創作中に<物語>にレイプされる的な錯覚を持つこともあるらしい。他方で「意識的に覚めた方がいい、覚めれば覚めるほど無意識は濃くなる」などと発言していて、作者の無意識(これは客体的主体性とでもいうべきものか?)を擁護してもいる。2015/10/14

うえうえ

9
いかに中上が「地の果て至上の時」に自信を持っていたかがわかる。正直全体的にピンとこなかったが、三島の祖父の話には驚いた。2018/12/17

ハイザワ

7
ここで徹底して強調されているのは空間の問題である。神話的な「移動」と「物語空間」において、人間の原型のようなものを呼び覚まし、そしてそれこそが小説の力になるのだと中上はいっている。それが中上健次独特の問題になるのは「路地」が消失して以降で、つまり中上は自分の物語の基盤となる空間を失ってからも小説を書き続けなければならなかったのである。僕はあまり中上のよい読者ではないが、自らの理論に忠実過ぎる上に困難な課題を抱えざるを得なかった中上はやはりすごいのだと思った。2017/09/01

mstr_kk

6
3読め。「物語の系譜」を読んでからこれを読むと、内容的にほぼ同じなので、理解しやすかった。講演の記録が、おそらくほとんど手を入れられぬまま活字にされており、しかも肝心の講演は脱線や飛躍だらけという、読みにくいことこのうえない書物ではあるものの、随所にべらぼうに面白い話があるからタチが悪い。体系的なまとまりという点ではひどいものだが、鋭さという点では、中上の思考は他に類を見ぬほどに「物語」というものの本質に迫っていると思う。2013/09/12

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