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李箱作品集成

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  • サイズ B6判/ページ数 399p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784861820885
  • NDC分類 929.18
  • Cコード C0098

内容説明

朝鮮を代表するモダニズム文学者、李箱(イ・サン)。1930年代の植民地朝鮮・京城で活躍し、26歳の若さで帝都・東京で夭折した。現代韓国において最も愛されている作家の一人であるが、一方で「難解」「天才」「異常」とも評され、いまだにその作品は多くの謎に包まれている。本書は、その代表作をはじめ、これまで注目されてこなかった作品を掘り起こし、日本語で書かれた詩は当時の資料から収録した。李箱のほぼすべての短篇小説・随筆・日本語詩を網羅した、日本における初めての作品集である。

著者等紹介

李箱[イサン]
1910年、朝鮮・京城(ソウル)生まれ。本名は、金海卿(キム・ヘギョン)。朝鮮を代表するモダニスト作家。1930年、長篇小説『十二月十二日』で創作活動を開始。31年、日本語詩『異常ナ可逆反応』『鳥瞰図』『三次角設計図』を朝鮮総督府の機関誌『朝鮮と建築』に発表。33年から喫茶店を経営するかたわら創作活動を行なう。34年、文学サークル「九人会」に参加。同年、『朝鮮中央日報』にモダニズム詩を連載するが、読者からの抗議により連載中止。以後、詩・短篇小説・随筆を発表。36年10月、東京に行く。37年、「不逞鮮人」として日本警察に検挙され、思想犯の嫌疑を受けて2月12日から3月16日まで西神田警察署に拘禁される。持病である結核の悪化のために病保釈で釈放されるも、4月17日に死去。享年26歳7カ月

崔真碩[チェジンソク]
1973年、韓国ソウル生まれ。1998年、和光大学卒業。同年、韓国延世大学校大学院国語国文学科碩土課程入学。現在、東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻博士課程(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きゅー

11
1910年に朝鮮に生まれた李箱は26歳となる1937年に東京で死没した。本書には彼の小説とエッセイ、日本語詩篇が収録され、詳細な解説が付されている。朝鮮を代表するモダニスト作家とあるが、随筆はまだしも小説や日本語詩篇はあまりに破天荒でとてもついていけなかった。時にうわ言のような文章もあり、凡夫を寄せ付けない特異性が際立っている。女性に対しては強い蔑視感情、或いはコンプレックスを抱いており非常に攻撃的だ。私生活そのものも滅茶苦茶だったようで、破滅的な人生を送りつつ、それを書き残していったようだ。2019/08/23

Timothy

4
恐らく初めての朝鮮/韓国文学、モダニズム全般に耐性がないので衝撃が大きい。最たるものは日本語詩だが、巻頭に収録の小説『蜘蛛、豚に会う』も激しく目が滑り、早々に投げ出してしまいそうだった。充実した訳者解説に大いに助けられる。特に『翼』は背景も何も知らずに読むのと解説を読んだ後ではかなり違った(共によかった)。誤解を恐れずに言えば私の中で年表上の存在に留まっていた植民地朝鮮が、この読書を通じてぼんやり形を取り始めた。作品は実際難しく後半は理解する努力も半ば放棄していたが、それでも読んで(触れて)みてよかった。2020/10/16

u17

2
長編『十二月十二日』以外のほぼすべての小説・随筆・日本語詩、訳者による鋭い李箱文学評論が収録されている(年譜を見る限り随筆は収録漏れが多い印象。翻訳不可と判断されたのか詩は李箱が日本語で書いたもの以外はひとつも載っていない)。/『翼』の前日譚的な『逢別記』や自動記述詩など、心打つ作品多数。2013/06/09

毒モナカジャンボ

1
植民地時代の朝鮮人作家、李箱の作品を日本語で読めるおそらく唯一の本。出来にムラが激しい気がするがやはり『翼」は圧巻。日本人の小説の翻案のようだが、全編に漂う取り返しのつかない、壊れた感覚はなかなか味わえるものではない。自分を19世紀的道徳の人間と自嘲的に吐露するが、実践は完璧なモダニストであり、特に日本語の詩は実験性を強めまくった結果謎になっているものが多くて笑ってしまう。が、時々強烈なフックがあるので油断できない。『倦怠』の感覚は多くの人間が倦怠階級であることが可能になった現代でこそウケそう。2019/05/23

秋津

0
韓国併合直後の「近代性と植民地性が混在する」都市京城に産まれ、東京において若くして病没した作家李箱の著作集。本書では彼の立ち位置がぐらぐら揺れている様がまざまざと。貞操観念、自殺願望、そして怠惰。それらは朝鮮ー日本、近代―前近代といった大きく深い溝の中に陥りながらも、その中で思考し続けたモダニストの悩みの吐露でもあり、自己の表明でもあるなと。「おれは今日不遇の天才というものになろうとして、それにすらもなれず引き返してきた」(失花)という言葉が印象的。「凄いもの読んだな。」という気分。2017/10/15

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