内容説明
日本史上唯一の女性皇太子として聖武天皇を継ぎ、騒乱と謀略の渦巻く平城京に道鏡を師に仏国土の実現を夢見るが、藤原一族・吉備真備らに重篤の身を幽閉され、孤独の内に悶死するその凄愴な生涯。
著者等紹介
小石房子[コイシフサコ]
1937年大分市生まれ。作家。日本ペンクラブ会員。青山学院女子短期大学国文科卒
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感想・レビュー
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遊未
5
野心に満ちた人物ばかりの時代と認識していたけれど、実に淡々と書かれていて疲れずに読めました。唯一あくが強いのが仲麻呂くらい。女帝も道鏡もひたすら仏法の世を実現するためと。しかし、お二人に悪意が無さすぎて、これもありかな?とも思いにくいレベルでした。2022/12/28
春
4
好感の持てる作品だった。あとがきにあるように、正史の業績は全く伝えられず、卑猥な伝承が誇張されてまことしやかに語りつがれてきたのなら、孝謙・称徳天皇かわいそうです。2014/06/25
いすず50
3
著者あとがきにもある通り、俗説にまみれた女帝のイメージを払拭する作品。仲麻呂との仲は幼い頃の淡い憧れにすぎず、出家は、道鏡に対して道を踏みはずさないよう女を捨てるため。恵美押勝という命名も仲麻呂のお膳立てとしており、「帝は小事・上皇は大事と賞罰を行う」という宣言も、もっともだと納得させられる流れ。著者の狙い通りに孝謙女帝のイメージが覆った。2010/04/15
ユウユウ
1
わりに冷静に描いてあって、それが読みやすかった。道鏡とのくだりもふつう淫靡に描かれたり、逆にやたらと純愛風に描かれたりするものが多い中、本当に淡々と記されており、歴史本を読む感覚で読めた。他の作品もちょっと読んでみたいと思う。
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