出版社内容情報
『正法眼蔵』は古来難解をもって知られている。そのあまりの難解さのため、従来の注釈の多くは「道元の言葉はそもそも論理的に理解できるものではない」という暗黙の前提に立ち、テクストの各段落をばらばらに切り離してそれぞれの段落に恣意的な解釈を行ってきた。こうした従来の解釈には道元のテクストの中に自分自身の「宗教体験」を安易に読み込んでしまっているものも多いが、言うまでもなく彼らの「体験」が道元のものと同じである保証はどこにもない。本書は『正法眼蔵』冒頭の「現成公案」巻全体をひとつの一貫したテクストととらえ、テクストの論理的構造に基づいて道元の意図を明らかにする。
目次
序論(本書の企図と基本方針;本書の提示する視点 ほか)
本文・現代語訳・註解(諸法の仏法なる時節;自己をはこびて万法を修証する迷とす ほか)
附論(自己をはこびて万法を修証す;万法すすみて自己を修証す ほか)
解題(「現成公案」研究史;本書の位置 ほか)
著者等紹介
早川祥賢[ハヤカワショウケン]
俗名、敦。東北福祉大学特任准教授。曹洞宗地蔵寺徒弟。東北大学文学部卒(印度学仏教史)。Ph.D(Radboud Universiteit Nijmegen)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Jacard
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短い論文?部分じゃなくて全体を見て解釈しよう、という説明は受け入れやすいし、まとめも綺麗。古い文章を読み解く時、そもそも背景となる知識が違うから難しいんだと、改めて。/文系の論文って時々、過去の解釈を否定して自説を補強している印象。弟子の解釈まで否定しててアグレッシブ。/こうも解釈が難しいと、道元の真意を理解しようと時間を費やすよりも、自分が納得できる理屈を紡いだ方が効率的なのでは?とも思えてしまう。そもそも道元が正しいって保証があるわけじゃないんだから。…そのへんはまぁ信仰が支えてるのか。2024/02/26