内容説明
戦争末期、飛行機工場などの集中する東海地方を立て続けに襲った東南海地震と三河直下地震。勤労学徒や疎開児童の圧死など惨憺たる被害の実体は軍国政府によって悉く隠され、地震学者は邪魔者扱いされた。「天災」である地震と「人災」である戦争を考える。もう一つの昭和史。略年表・戦争と日本地震学辛酸の軌跡付。
目次
第1部 太平洋戦争下の隠された大震災(歴史の激動期を襲う大地震;倒幕に「呼応」した幕末の地震 ほか)
第2部 戦争と日本の地震学者(日本地震学の「躍進時代」;軍国ファシズムの異常事態の中で ほか)
付 戦争と日本地震学辛酸の軌跡
終わりに(極秘に派遣した軍の「工作隊」;太平洋戦史の中の一つの驚き ほか)
感想・レビュー
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nagoyan
1
優。私の親とその兄弟はまだ子供だったし、縁故疎開だったので、被災せずに済んだ。が、疎開先は知多半島だったので、遺体を焼く煙が何日も続いたのを覚えているそうだ。三河地震、東南海地震の真実の姿を描く。戦争遂行のためとして、被害を隠した軍・政府。「被害を隠す」ということとは、具体的には、親さえも、子供の遺体に会せないということだった。当時、地震学者さえ現地に入らせなかったため、現在、知る人も少ないこの震災の実態を、南海トラフ地震の脅威が目前となっている今、多くの人に知ってほしいと願う。
Aby
0
我が家の年寄りから聞いていた東南海地震(1944)と三河地震(1945)が,これほど甚大な被害を与えていたとは.ご丁寧にも米軍は震災後の名古屋に爆撃してるし(あの話は,このことだったんだな……).話に聞いていた「地震小屋」の記述もあり.2013/05/16
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