内容説明
西丸衆の反対を封じ、吉宗と新吾の親子対面を果たすため、酒井讃岐守が一討を案じた。三代将軍家光の故知にならい、全国の武芸者を集めて御前試合を催すというのだ。参加せざる者は重罪に処すとの厳しい布告に、自源流を代表して新吾が入城すると、宿命の敵、武田一真は柳生流剣士の名目で新吾の前に現れた…。
著者等紹介
川口松太郎[カワグチマツタロウ]
明治32‐昭和60年(1899‐1985年)。小説家、劇作家、演出家。東京浅草生まれ。久保田万太郎に師事。講釈師悟道軒円玉のもとで江戸文芸と漢詩を学ぶ。大正12年、小山内薫の主宰する「劇と評論」に脚本『足袋』を発表。同年、直木三十五らと雑誌「苦楽」の編集にあたる。その後大衆作家を志し、昭和10年『鶴八鶴次郎』『明治一代女』などで第1回直木賞を受賞。芸道小説、時代小説、風俗小説に独自の話術をもって庶民的心情をとらえる。15年、劇団新生新派の主事となり、以後新派の育成に力を注ぎ、戦後は大映の重役として映画、演劇の制作にも活躍した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シガー&シュガー
10
「斬る」と思って人を追い、殺すことなく勝負に勝てた九番勝負、そして最後の大勝負・将軍上覧試合で仇敵の武田一真と相対する十番勝負。一真に打ち勝ち剣聖となったところで物語はおしまい。この上覧試合には新吾の敵も味方も大集合。味方はもとより敵方さえも認めてしまうほどの新吾のカリスマぶりは時代劇らしい爽快さ。ENDマークが浮かんでくるような映画的ラストは続編を期待させるけれど映画オリジナルでしか作られていないみたい。行く末が知りたい設定も残ってて残念、でも総じて面白く読みやすい、さすが川口松太郎作品。2017/09/21