内容説明
向かいの家を眺めたイヴは、その一室で婚約者の父ローズ卿が殺されたことに気付く。犯人の茶色の手袋。こなごなに砕けた嗅ぎ煙草入れ…。証言できない事情を抱える中、容疑者に仕立てられ窮地に立たされるイヴ。心理の盲点を衝き、物理的トリックに対して心理的トリックを対置した、“密室作家”カーの最高傑作。
著者等紹介
カー,ジョン・ディクスン[カー,ジョンディクスン][Carr,John Dickson]
1906‐77年。アメリカ・ペンシルヴァニア州ユニオンタウン生まれ。別名カー・ディクスン、カーター・ディクスン。1928年、ハヴァフォード・カレッジを経て、パリに留学。30年、処女作『夜歩く』の出版が好評を得て、一作でミステリー作家として認められる。33年から17年間イギリスに住み、イギリスを舞台に、イギリスふうの文体で作品を発表した。第二次大戦後は祖国に引き揚げて活動したため、“米英作家”と呼ばれる。密室トリックを骨格とした、オカルティズムと怪奇趣味に溢れる作風を得意とし、60に及ぶ長篇を残した
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感想・レビュー
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空猫
19
カー作品初読み。80年近く前の作品なので古臭いのはやむを得ないが物理的、叙情的、心理的トリック(+メロドラマ)を楽しめる作品であった。[密室作家]と呼ばれる作家なのにこの作品が最高傑作とされているのが腑に落ちないので密室トリック作品も読まねばなるまい。表紙絵は創元推理文庫の方が好みだな。2016/11/02
KAZOO
7
「虚無への供物」に比べればはるかにわかりやすいし、読みやすかったです。まあ何回目か、ということもあるのでしょうが、ディクスン・カーの面目躍如です。フェル博士、ヘンリィ・メルヴィル卿はまだ出てきませんが、それに近い主人公は出てきます。最初に読んだ昔はすごく感激というか感心した覚えがあるのですが、今はやはり少し古臭く感じます。最近、クイーンやヴァン・ダイン、クリスティーがあまり読まれなくなったということもしょうがないのでしょうかねえ。2014/04/03
chaki
2
文体も会話もクラシカルではあるものの、会話の中から謎を追っていき解決する様は流石。伏線がいろいろあったのね~他の作品も読みたい。2017/04/02
Yukisa
0
とても面白かった。 犯人も当てられなくて、真犯人の見つけ方が巧妙だった。2012/10/13