内容説明
江戸中を震え上がらせている兇賊「疾風」が神田の呉服屋に押し入った。盗られた金は三百両。そして翌日、三十両が平次の家に投げ込まれる。「疾風」が盗んだ金の一割を届けてくるらしい。一味に美しい娘が関わっていることから、近頃評判の八人芸のお島に疑いがかかる。表題作「八人芸の女」など十編を収録。
著者等紹介
野村胡堂[ノムラコドウ]
明治15‐昭和38年(1882‐1963年)。小説家、音楽評論家。岩手県生まれ。盛岡中学から、一高、東京帝大法科と進むが、父の死により中退。明治45年、報知新聞社に入社、政治部記者になる。そのかたわら文筆活動を行い、長篇時代小説を新聞・雑誌に連載、また、“あらえびす”のペンネームで多くの音楽評論にも活躍した
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちくわん
16
各話をKindleで再読。庚申横丁/一枚の文銭/大村兵庫の目玉/綾吉殺し/招く骸骨/赤い紐/二服の薬/八人芸の女/雪の足跡/お民の死、の十話。あとがきは、捕物帖談義。2022/08/27
ちくわん
15
1938年~1939年。実家に1巻~16巻が揃っていた。気長に楽しみたい。さて本書の10話、トリック満載。それにしてもテレビで時代劇を観なくなった。今の時代は誰も江戸時代のドラマには興味がなくなったのか。昭和の8時は、だいたい時代劇だった気がした。本書の帯の村上弘明氏は、まげがお似合いだ。最後の銭形平次か?2020/12/26
KAZOO
8
銭形平次の2作目です。この中には10作品と、最後に作者の短い評論が入っています。また当時書かれていた挿絵が入れられているのも非常に味があるような気がします。そんなにたいそうな捕り物帖というわけではないのですが、当時としては珍しく謎を入れてそれを解き明かすということでかなり人気を博したのだと思います。また江戸の情緒もうまく書かれている気がしました。2014/06/02
へたれのけい
4
銭形平次、ほんとに面白い。こんな感想で恥ずかしいのだけれど、いやいや、何とも面白い。2020/05/20
アルゴン
1
★★★★ 大掛かりなトリックこそありませんが、1話ごとに趣向が凝らされていたり、江戸時代ならではのことがらを知れたりしておもしろいです。「大村兵庫の眼玉」「招く骸骨」「お民の死」が好き。2012/03/01