内容説明
“本当に新しい日常”へ読者を誘うフジモトマサル、待望の「新刊」!!単行本未収録の漫画、エッセイを多数含む、初のベスト作品集。
目次
こぐまのガドガド
スコットくん
今日はなぞなぞの日
おおかみが来るぞ
今日はなぞなぞの日
終電車ならとっくに行ってしまった
スパゲティ禍
夢みごこち
アナグマ博士の睡眠研究所
今日はなぞなぞの日
回想の再読
二週間の休暇
ダンスがすんだ 猫の恋が終わるとき
かわうそ天然気分
ウール100%
ウール100% ドリーの日記
ウール101%
こぐまのガドガド
著者等紹介
フジモトマサル[フジモトマサル]
1968‐2015。漫画家。イラストレーター。漫画の仕事多数。また装画や挿絵の仕事も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
69
すごく面白い。登場人物を動物にすることで、人間関係でよくある「穏やかな言い回し」や「自分の利益のために発言を選択する」というコミュニケーションスキルが一才なくなっている。動物のシンプルで鋭い言葉にドキッとする。子育てに試行錯誤するクマ。自立への憧れを抱えるペンギン、田舎暮らしに憧れる父親に連れられて転校してきたオオカミ。人の夢に入り込める精神分析医のアナグマ。素敵な絵と鋭い言葉で溢れている。それってすごく難しいことなんだけど、とても簡単そうにやっていて、すごいと思う。2023/02/19
Vakira
56
版画の様な絵と2色刷のスクリーントーン。絵本ではなくマンガに近い。人間社会の話なのに主人公は動物だったり。絵は素敵だが、表現される小話がまた素敵。イラストは知ってましたが、マンガは読んだことなく、たまたまジュンク堂のフジモトマサルフェアに遭遇。っで手に取り、ペラペラめくるうちに虜に・・・買っちゃいました。チョット高め。でも何回も見て元をとろう。お気に入りは「アナグマ博士の睡眠研究」 アナグマ博士、他人の夢の中に入れます。「インプセプション」の様。My琴線ビンビン。もっと読んでみたいですね。2021/03/21
ちゅんさん
36
初めてこの方の漫画を読んだがとてもよい。ほのぼのとした絵でクスッと笑えるようなオチがあったり、心がほっこりするような話だったり。他にもフジモトさんのエッセイやなぞなぞ、藤野可織の狂った(褒めてる)短編小説が収録されてて読んでいてとても楽しい。でもフジモトさんは亡くなられたんですね、こんなに素敵な描き手なかなかいないのに。2023/03/13
ぐうぐう
32
まるで油断がならない。動物が言葉を話し、人間と共存している世界。そんな寛容な世界を、フジモトマサルは温かみのあるタッチで描く。けれど、ほのぼのとしていると思いながら読んでいると、必ず不意をつかれる。そこに不穏が立ち現れるのだ。だから油断ならない。ただ、その不穏は身に覚えのあるものばかりだ。だから、さらに油断ならない。『アナグマ博士の睡眠研究所』のアナグマ博士は言う。「まあ、夢には必ず出口があるということですね」出口があるということが絶望にも、あるいは救いにもなる。私達がいる世界がまさしくそうであるように。2021/04/11
Roko
31
フジモトマサルさんって、ドキッとするようなことをサラッと言うんです。誰も言えなかったけど、もしかしたらって思ってたことをわたしの代わりに言ってくれているようなそんな気がしてしまうのです。おおかみのりんごちゃんも、アナグマ博士も、ひつじのドリーちゃんも、人間の世界の中で違和感なく生きてるのがとっても好き。見た目は違っていても、そんなこと何も気にしないで生きている世界っていいなぁ。とても静かな世界で展開されるシュールな会話なんだけど、そんな話したことあるかも?って思えてくるのは何故なのかしら?2021/09/13