内容説明
社会主義体制下にあったチェコスロヴァキア、ポーランド、ハンガリーでは、芸術家が公式な場で自由に表現活動を行なうことが許されず、ポスターなどのグラフィックデザインが芸術性を発揮できる数少ない場所でした。本書では映画、演劇など文化的なポスター２３３点を一挙掲載。想像力を刺激する、独自のポスター文化をご堪能ください。
目次
チェコのポスター（映画；展覧会；演劇；音楽；その他）
ポーランドのポスター（映画；演劇；サーカス；展覧会；ビエンナーレ；音楽；道徳；その他）
ハンガリーのポスター（映画；演劇；音楽）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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4
社会主義体制下のチェコ、ポーランド、ハンガリーのポスターデザイン集。表現活動が制限される中、グラフィックデザインであれば芸術性を発揮できると考えたのか、商業主義とは一線を画した、アバンギャルドな作品が次々に生み出される。コラージュ、フォトモンタージュ、ヘタウマイラストなどを用いたシュールな作風のものから、社会主義末期には人間の内面や社会の不条理を表すようなグロテスクな作風のものまで、表現は商品を使用した感覚に重きを置いている。それらは感情を押し殺された政治への、密かな反発であったようにも思える。2017/08/31
新天地
3
社会主義体制下のチェコ・ポーランド・ハンガリーの映画や演劇等の絵画のポスターを紹介する本。1ページ1ポスターで小難しい理屈をこねた解説もなくじっくりと好きに眺められるようになっている。特に映画のポスターがどの国でも一見内容が分からないような絵になっているが、きっと本編を観れば絵の意味がわかりそうになっているのが面白くていろいろと想像してみた。チェコのヨゼフ・フレイシャーの映画「鳥」とポーランドのアンジェイ・ポンゴフスキの映画「七人の侍」とハンガリーのマーテー・アンドラーシュ演劇「三文オペラ」が好き。2019/07/02
保山ひャン
3
京都工芸繊維大学に行く用事があり、同大学監修の本を読みながら向かった。チェコ、ポーランド、ハンガリーで制作されたポスターは、社会主義国ゆえに資本主義国のポスターとは違う独自の発展を遂げた。コラージュやフォトモンタージュ、イラストを使うチェコ。写真表現をあまりしないポーランド。以上二国に特徴的な抽象的な表現をあまりせず、西洋のポップアートやサイケにもろに影響されているハンガリー。ポスターの内容は、映画、演劇、展覧会のためのものが多いが、ポーランドのポスターではサーカスのポスターが多く取り上げられていた。2018/06/28
Lighthouse Keeper
0
60〜80年代東欧のポスター図案集。映画や展覧会が題材のものから選ばれているためかデザイン性が極めて高い。映画の場合では内容に直接触れないようデザインされていて、この格好いいイラストで表現された映画たちはいったいどんな内容なのかと想像するのも楽しい。実を言うと、東欧や北欧の、ヒゲのいっぱいついた文字に弱い。2020/02/23
