目次
現代の巨匠
ベーコンとの対峙
FOCUS1 シルヴェスターによるインタビュー
FOCUS2 ベーコンと実存主義
FOCUS3 イメージソースとしての写真
形成期(1920‐1954年)
FOCUS4 “絵画”、1946年
FOCUS5 叫ぶ口
FOCUS6 セルゲイ・エイゼンシュテイン
FOCUS7 教皇シリーズ
中期(1955‐1970年)
FOCUS8 肖像画―「生き生きとした感じ」を求めて
FOCUS9 磔刑
後期(1970‐1992年)
FOCUS10 ベーコンのアトリエ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
77
フランシス・ベーコンの絵を観ていて目を逸したい一方で目が離せない気持ちになるのはギーガーだ。但し、ギーガーは硬質美の不気味さがあるのに対し、ベーコンは自分の押し込んできた叫びや悪夢を最も生々しい形で取り出している。フランシス・ベーコンについての言及は「自分より、詳しい人の本があるから興味のある人はそこを見てね」という感じにほっぽかれている。その結果、絵が多くなり、ベーコンの絵画の題名が曖昧で観客が観たように絵を捉えられるようにベーコンへの言及を避けることで絵に注目させる編集になっています。2017/10/12
蛸
12
ベーコンの画業を3つの時期(形成期:1920〜1954年、中期:1955〜1970年、後期:1970〜1992年)に分けて解説しつつ、その合間に挟まれる、様々な切り口の文章によってベーコンの独創性の秘密に迫るような構成の一冊。 解説の文章は過不足なくまとまっており、平易で読み易い。これを読めば、ベーコンの絵画を鑑賞する際の基礎知識をしっかり得ることができる。図版の印刷も美しく(ベーコンの絵画のイメージソースとなった画像も掲載されているところが良い)、おそらく日本語で読めるベーコン入門的な書物としてベスト。2022/02/11
フロム
9
ベーコンのベラスケスが描いた教皇イノケンティウス10世の習作が好きで手に取ってみたのだが、ベーコンの出来のいい作品はあんまり20世紀ぽく無いんだよね。もうちょっと先を行ってるというか。ただ展覧会にも行ったり本著を読む限りでは出来が良くないのもそれなりに多いなと、、、。 何というか素朴な感想ですいません。2017/12/09
いたち野郎
4
どんな表現方法に限らず、突然変異のようなインパクトを与える作品というのがあるんですが、ぼくは全然絵画は知らんのですがいつぞやの展示会を見たフランシス・ベーコンの作品群はまさにそれですね…それを本書で見ても、彼の抽象的なようで抽象画のアイデアを拒絶するかのようなモノの配置が独創的に感じられていいのかなと思います。本書の中身は、ほとんど絵です。あとは生い立ち、10に分けたちょこっと解説など。2016/08/19
イシュア
4
不気味に歪ませられた肉体、大きく開かれた口、無神論者が描く磔刑のイメージ、フランシス・ベーコンの作品はなんて「気持ち悪い」のだろう。絶望、憤怒、性欲、見たくない人間の側面を表現しようとしたのだろうか。わからない。本文から引用させていただくと「ベーコンの作品は、一生懸命に見つめても、目に見えるものから、絵のテーマの一貫性をはっきり捉えようという期待は見事に裏切られる。(中略)我々はわかったようなふりをして、ただその場を立ち去るわけにはいかないのだ」とある。何度も何度も行きつ戻りつ、私はベーコンに対峙する。2015/11/29