内容説明
巨匠たちの秘められた技法を紹介。美術史を書き換える衝撃の発見。
目次
introduction
the visual evidence
the textual evidence
bibliography
list of illustrations
acknowledgments
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
87
フェルメールがカメラ・オブスクーラを利用していたことは想像できるが、画家はその手法を秘密にする。何を描き、なぜ描いたかは美術史家の数多の著作があるが、どう描いてきたかは誰にもわからない。画家である著者が仕事を休止し、世界中の絵画を見て出した結論は、的確かつ実証的である。1430年代フランドルで光学機器を使ったファン・エイクらからダ・ヴィンチを経てカラヴァッジョに至り、遂にヴェラスケスなどヨーロッパ全体に広がった。2元的な遠近法が印象派による3次元の世界に取って代わった。著者の絵画は新たな挑戦なのであろう。2021/05/11
つだしょ
2
フェルメールが光学機器、カメラ・オブスクーラを使ったのはわかっていたが、よもや光学的な技術は西欧美術史上、絵画技術の根幹であったかもしれないというホックニーの驚くべき説。真っ暗にした部屋にメガネのレンズ程度の大きさの穴をあけ、凸レンズをはめ、外の映像が壁に映し出される。それを画家はなぞるか利用して簡単な目印をつける。カラヴァッジョ、ホルバイン、ファン・エイク兄弟、アングル…あの圧倒的に「写真のような」絵画は光学的技術を用いていたとすれば納得できる。準備等かなり面倒そうだが、背に腹はかえられなかったであろう2014/09/26
よだみな
1
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』を抜いて、本書が今年のベスト1となった。ルネサンス以降の絵画が光学機器を使ってトレースしていたという説をあらゆる角度から論証していった本である。表情や布のディテールの描写などあまりにも高度な技巧なのに、ヘンなパース、デッサン狂いなどが発生していたのは、なぜかと思っていたのだが、本書を読んでいろいろ納得がいった。今後、美術展で絵画を観るときの視点が大幅に変わり、以前とは二度と戻れない感想になっていくのでありました。ああ、驚いた。2022/11/25
nininice
0
大変興味深い研究!バロック絵画の独特な光と影のコントラスト、北方ルネサンス絵画の独特な描写、なるほどなるほど。アングルの絵をきっかけに、ここまでの研究を深めたホックニー、凄い!!2015/09/29
S-T
0
これは面白かった。2011/07/12