内容説明
文学を彩る様々な色は、これまで実際にその正しい色を見ることができず、文献を模索して推理する以外にありませんでした。本書は、色彩学の権威者である著者が長年にわたって蒐集した古文献・古裂・染見本帳など、権威ある典拠により考証し、さらにそれを試染して色調を確かめてあります。225色すべてに、染料・古染法・色調や流行沿革などを収載、あわせて文献年表・和洋色名対照一覧表・参考文献・英名を付し、また活用に至便なようにカラー・チャートを添えた、日本色彩芸術事典です。
目次
日本の伝統色 色票
日本の伝統色 解説(色票目次;各説;附説;伝統色記載の文献年表;和洋色名対象一覧表;日本伝統色のJISトーン別分類一覧表;JISの一般色名及び修飾語の用い方、JISトーンの名称;マンセルの色相記号、マンセルの明度・彩度記号)
著者等紹介
長崎盛輝[ナガサキセイキ]
明治45年高知県安芸町に生まれる。京都市立絵画専門学校(現京都市立芸術大学)図案科卒業。専攻日本色彩芸術史。京都市立芸術大学名誉教授、嵯峨美術短期大学教授、奈良教育大学大学院講師。日本色彩学会・日本風俗史学会々員。昭和60年勲三等瑞宝章を受ける。平成7年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おMP夫人
16
会話の中などで色の名前を出す時は、だいたい「濃いピンク」とか「暗めの水色」なんて言い方になると思います。それはそれでわかりやすいのですが、これらを「中紅(なかべに)」や「浅葱色(あさぎいろ)」と口にしてみると、色がもっと素敵に感じられる気がします。もっとも、相手も知らないと伝わらないのが難点ですが。それはともかく、つい漠然とした表現をしてしまいがちな色の日本名が網羅されていて、各色には歴史やどんな使われ方だったのかなどの解説があり、一般的なカラーガイドとは違い、見るだけではなく読む楽しみもある本でした。2012/11/01
とんこ
8
美しい日本語の色名に釣られて昔々に買った本。久々に引っ張りだし、事典なので、読むというより眺めて楽しむ。染色法やら文献やらが書かれた説明は面白いけど、専門的な分類の表とか、プロ向けなページがかなり多いので、色の和名を楽しみたいだけならもっとライト層向けな本も今は色々ありそう。2021/12/10
及川まゆみ
6
色票と解説が別々なので、娯楽として読むなら他のものの方が……。伝統色彩記載の文献年表、和洋色名対照一覧、JISトーン別分類一覧表、マンセルシステムの色度記号図、日本工業規格規定のJIS一般色名法の図、けっこう細かい参考文献、と、色彩学をやる人なら持っていていいかも。2012/10/24
shou
5
解説の情報量が豊富で素晴らしい。色名、由来、各時代の出典や時代毎の名称の変化や流行も網羅。絵具選びの参考になる英名解説も嬉しい点。染色方法で呼び分けるのが基本というのが、現代においては分かりづらいなあ。2014/04/10
こたつ
2
辞典ですが文庫で扱いやすいです。口絵で色はわかります。特に良いところは、和名のあとに英語名の色も書いてあるところ。藍色はマリンブルー、薄紅色はローズピンク、など2021/07/17