内容説明
母牛と死に別れた、生まれたばかりの仔牛を突然育てることになった牛飼い・譲。慣れない「育児」に戸惑いながらも、次第に仔牛・地湧と心を通い合わせる。しかし、そんな日々にも別れの時は近づく。地湧が流した涙の意味と、最後に譲が見た光景とは―。舞台はトカラ列島・諏訪之瀬島。心震わすいのちの物語。
著者等紹介
加藤賢秀[カトウヨシヒデ]
1945(昭和20)年両親の疎開先山形市で出生。東京育ち。1963(昭和38)年都立小山台高校卒業。1968(昭和43)年横浜市立大学卒業後すぐにシベリア鉄道起点で、世界放浪に旅立つ。1971(昭和46)年諏訪之瀬島バンヤン・アシュラムに1年間滞在。1975(昭和50)年世界54カ国を巡ったのち、鹿児島県トカラ列島の諏訪之瀬島に定住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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赤ヒゲ
4
トカラ列島に12ある島の1つ、諏訪之瀬島に住む著者が体験した1頭の牛「地湧(じゆう)」との命の根源にまつわる物語です。著者は元々は島の人間ではなく、世界54か国を放浪し、ヒマラヤ奥地での瞑想で、宇宙の深淵とつながる神秘的な体験をしたと物語から読みとれます。生業としていた子牛生産で死産の末に生まれた奇跡の命との出会い、そして子牛の宿命として生後2年半で屠殺され食肉になるという経済的な営みの間で揺れ動く主人公・譲の葛藤が胸に迫ってきます。いよいよ決別の時、譲が確信する永遠の命の有り様に深い感銘を受けました。2023/07/09
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