内容説明
日本に来て初めて、古代からのブナの森に足を踏み入れた著者は、感動のあまり涙を流す。以来50年、彼は日本の自然を守るために戦い、理想の森「アファン」をつくり上げた。C・Wニコルから日本人への「心の贈り物」の物語。
目次
私の愛する森
アファンという名前
クマと神の故郷「黒姫」に住む
消えた「クマの森」
破壊される日本の森
英国アファン森林公園の奇跡
家を建て森を買う
どろ亀先生の遺言
クマを愛する
やっかいなウサギたち〔ほか〕
著者等紹介
ニコル,C.W.[ニコル,C.W.]
1940年英国の南ウエールズ生まれ。17歳でカナダに渡り、北極地域の野生生物調査を行って以降、カナダ政府の漁業調査委員会技官、環境保護局緊急係官として10数回にわたって北極地域を調査。1962年、空手修行のために初来日。80年に長野県の黒姫に居を構える。86年から荒れ果てた里山を購入し、「アファンの森」と名付けて森の再生活動を実践。作家活動の傍ら、環境問題に積極的に発言し続けてきた。95年、日本国籍を取得。2002年、購入し続けてきた森の土地を長野県に寄付して「C.W.ニコル・アファンの森財団」を設立し、理事長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
59
「アファンの森」と聞くと外国の地のようだが、作者がイギリスの森林公園の名をつけた黒姫の森である。イギリスの森林公園もそうだが、お金を出し、「森として維持しよう、守ろう」という意図的な行動に出ないと森が守られないというのは、何だか本当に悲しい話だ。そうやって管理されているからこそ山菜なども豊富な森となるのだが、それを盗み取りに来る者が多いというのも、悲しい話だ。ここ数日の間に何度も、野生の熊が人里に出現したというニュースを見たところだったので、ちょっといろいろ考えさせられる本だった。2023/05/26
ちびbookworm
55
★4(個人的に).有名なジャン・ジオノ「木を植えた男」より、本著を全力でオシます!!著者が再生した「アファンの森」は実在の物語。◆約50年前、英国から1人の若者のナチュラリストが来日。大聖堂のような、美しい日本の森に感動した。◆無情にも伐採され消えていく森を悲しみ、怒り、絶望することをやめ、著者は、原稿料で貯めたお金で土地を買い、森を育てることにした。◆美しい森を育て、未来の日本へ贈り物をした感動の物語。(著者は2020年に永眠されました。)2021/04/23
T2y@
42
ニコルさんの本を読む度に、在命中にアファンの森へ行ってみたかったと思い高まる。 自身の森の見方もまた変わって来た。2022/02/10
ochatomo
18
2013年刊 著者の生きてきた道をやさしく語る 空手できっかけで来日し、その仲間から登山へ連れていかれ、ブナの森に感動、森の研究が始まる 熊がいる森が残る日本に対し、イギリスでは900年前に絶滅したそう 日本の国土の約1割が国立公園・国定公園であるのに管理するレンジャーの数が少なく技術が低いことを指摘しており、なるほどと思った 「日本の森林に健康を取り戻す努力」を続け、必要なことを先んじて実行された慧眼と行動力2021/07/23
Moeko Matsuda
11
大変読みやすい文章で、3時間くらいで読了。かつての日本の馬鹿げた森林政策(というか、族議員的な政治家とかお役所のやり方とか)に辟易しつつも、情熱を持って森を守り育てた著者の生き方に感服した。もう10年くらい前に、白神山地のブナの森についての講演会で、著者のお話を生で聞いたことがある。柔らかい声とわかりやすい言葉選びで、その時にも大変感動したことを思い出した。この国の60%以上を占める森林をどう癒し、守り、受け継いでいくのか、誰もがきちんと向き合わなければならない問題だと改めて感じた。2019/08/09