目次
第1章 テイラーがヘーゲルに見出した指針
第2章 コミュニタリアニズムの基盤としての人格
第3章 『ブシャール・テイラーリポート』から読み解くテイラーの哲学への動機
第4章 二人のコミュニタリアンと二つのコミュニティ
第5章 西洋思想は東洋に何を言えるのか―タイへの旅路
第6章 多様な人々と共存するための中立とは何か
第7章 世俗化の「長征」から読み解く「生きる意味」の奥行
第8章 テイラーの思想の実践的応用例
著者等紹介
濱井潤也[ハマイジュンヤ]
1983年生まれ。2010年、広島大学大学院文学研究科博士課程後期修了。博士(文学)。現在は新居浜工業高等専門学校准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フクロウ
2
かなり読みやすく2日で読み終わった。ヘーゲルの専門家によるテイラー論。ヘーゲルの理論は相容れない「表現主義」と「徹底的自由」の統一の理論だと換骨奪胎したテイラーは、『ブシャール・テイラーリポート』で故郷ケベックへの提言を、『民主主義への道 タイにおける人権と民主的発展』でタイへの提言を、それぞれコミュニタリアニズムの実践的観点を踏まえつつしている(テイラーとタイの関係は初耳だった)。ロールズ的リベラリズム、中でも厳格な政教分離は、アメリカ社会には合うのかもしれないが、ケベックやタイに合うとは限らない。2024/02/29
有智 麻耶
1
濱井潤也は、テイラーのヘーゲル研究者やコミュニタリアンとしての顔に注目することで、彼のケベックやタイにおける政治的実践を評価しようと試みている。タイの民主化をめぐる報告書『民主主義への道』は、日本国内の先行研究でほとんど(まったく?)取り扱われておらず、その内容を知ることができるだけで意義のある研究といえる。また、第八章では、ケベック問題と沖縄の米軍基地問題が類比的に探究されており、試論的な位置づけであるとはいえ、新しさを感じさせるものとなっている。もうすこし、先行研究との格闘を読ませてほしかった。2024/01/03