内容説明
女性の声、女性のための声、女性からの声。日中戦争期上海で刊行されていた中国語の女性雑誌『女声』について、日本人編集長田村俊子の姿勢を浮かび上がらせることを主眼に、「信箱」(読者による悩み相談)、文芸、映画、演劇、児童、国際報道などの各記事を分析。田村俊子と中国女性編集員たちがときに価値観の相違を見せながらも、女性の人生、境遇、将来について考え、発表を続けた諸相を多角的に考察する。
目次
1 総論(田村俊子と『女声』;関露の『女声』への参加とその後;「東京奇語」関露(須藤瑞代訳;「東京奇語(精神病状態の日々)」関露(須藤瑞代訳))
2 『女声』の戦略性(プロパガンダの「責任者」としての編集長・田村俊子―時事評論欄「国際新聞」「新聞網」「瞭望台」の検討から;『女声』の映画スペース―日本に対する同調・忌避・“好意”;『女声』における「先声」と「余声」の意義)
3 関露と『女声』(『女声』誌上のジェンダー論―関露を中心に;長編小説『黎明』第三章 関露;『女声』劇評にみるジェンダー観―関露のみた海派話劇)
4 田村俊子と『女声』(『女声』における「児童」ならびに豊島与志雄の童話;陶晶孫と田村俊子、そして『女声』;「日本からアメリカ、そして中国へ―追悼・佐藤女史」)
著者等紹介
山〓眞紀子[ヤマサキマキコ]
日本大学スポーツ科学部教授、日本大学大学院総合社会情報研究科教授。日本近現代文学
江上幸子[エガミサチコ]
フェリス女学院大学名誉教授。中国近現代文学・女性史
須藤瑞代[スドウミズヨ]
京都産業大学准教授。近代中国ジェンダー史研究
石川照子[イシカワテルコ]
大妻女子大学比較文化学部教授。中国近現代史(女性史、ジェンダー、キリスト教)
渡辺千尋[ワタナベチヒロ]
東洋大学経済学部講師。日本近代史、近代日中関係史
宜野座葉央見[ギノザナオミ]
明治大学文学部兼任講師。日本史・映像文化史
藤井敦子[フジイアツコ]
立命館大学客員協力研究員・立命館大学非常勤講師・関西外国語大学非常勤講師。中国近現代史・中国女性史・中国近現代文学
石井洋美[イシイヒロミ]
横浜国立大学等非常勤講師。中国現代文学
中山文[ナカヤマフミ]
神戸学院大学人文学部教授。中国演劇、ジェンダー学
姚毅[ヨウキ]
大阪公立大学客員研究員。中国女性史
鈴木将久[スズキマサヒサ]
東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国近現代文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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