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内容説明
現代インドの公益信託や寺院の利害関係者に着目し、多元化した「公益性」にもとづいて各寺院のあり方が形作られてきた経緯を検討することで、世俗主義と宗教のかかわりを考察する。
目次
第1部 公益信託、マールワーリー、サティー女神(公益信託を支える宗教的・慈善的な基金をめぐる司法的言説;マールワーリーと宗教的・慈善的な基金;サティー女神を規制するということ)
第2部 公益に左右されるヒンドゥー寺院(公益とコミュニティとのあいだ;新たな利害関係者と寺院管理の変容)
第3部 公益を飼いならすヒンドゥー寺院(揺れ動く公益性;多元化する寺院の公益性)
著者等紹介
田中鉄也[タナカテツヤ]
1979年、大阪生まれ。関西大学文学部卒業。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程修了。博士(文学)。専門は宗教学、南アジア地域研究。現在、中京大学国際学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
19
ヒンドゥー教徒の古くからの慣習で、夫が死亡した時に妻が夫の遺体と共に生きたまま荼毘に付されるサティーという恐ろしいものがある。これを行った女性はサティー女神になると敬われてきた。この慣習は1988年にインド政府がサティー犯罪(防止)法を制定し違法となった。本書は、サティー女神信仰の批判派と擁護派の対立を呼び水に、ヒンドゥー寺院と寺院運営の主体とされる公益信託との関係性、更には寺院の利害関係者の絡み合いを幅広く分析し、インドの世俗主義と公益性の奥深い議論を展開している。さすがに専門性高し。2023/11/18