内容説明
貧困者、支援者、弱者、専門家。彼らは何者なのだろう。「小さき人びと」はどのように世界を見て、生きているのだろう。政府開発援助の現場における、人類学者のもがきと葛藤の記録。
目次
第1部(チリにおける貧困の諸相;「貧困空間」の人類学;「貧困空間」の民族誌)
第2部(開発現場の人類学/開発現場で人類学;専門知のリハビリテーションに向けて)
著者等紹介
内藤順子[ナイトウジュンコ]
早稲田大学理工学術院・教授。博士(人間科学・早稲田大学)。専門は文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
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文化人類学の専門家として、南米チリへの政府開発援助の医療協力プロジェクトに参加した著者が、現場での葛藤まみれの経験を綴ったチリでの支援をめぐる民族誌。支援者と被支援者との関係の中で、人類学の専門家として直面する様々な課題が生々しく語られていてとても読み応えがあった。開発支援の現場では、自分たちが普段生きている世界の価値観を全て取り払う必要がある。その支援が本当に役に立っているのか、フィールドワークがどう生かせるのか、想像を絶するような異臭の中での著者の苦悩の様に胸を打たれる。2024/06/09