内容説明
ひょんなことからエジプトのアメリカンスクールで教師をすることになった、人類学者の筆者。我が強くて面倒くさく、そして魅力的な3人の仕事仲間にスポットライトを当て、グローバル都市カイロにおける、彼女たちの生き様を描く。他者に共感しながら「私」を見つける、人の民族誌。
目次
現代エジプトにおけるA校
第1部 シャイマの生き方―学歴至上主義言説に基づく、階層社会の読み替え(働くシャイマ、富裕層の教育者;“クバール”を生きる;“クバール”でも、クバールでないシャイマ)
第2部 サラの生き方―消費至上主義的社会における家庭と仕事の両立(子育て優先の就労;“ヘルワ”を生きる;異物としてのサラ)
第3部 リハーム校長の生き方―時空を超えた植民地期エジプトの再興(天職に生きる;“ソサエティ”の再興に生きる)
「私らしさ」の民族誌、その必要性と可能性
著者等紹介
鳥山純子[トリヤマジュンコ]
立命館大学国際関係学部国際関係研究科准教授。専門は文化人類学、ジェンダー論、中東研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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早春
1
とてもおもしろかった✒️「価値観が合わない」で終わらせられることを、著者は対象者の言動の裏にある思考回路を根気強く叙述する。これほど他者の言動を慎重に注視して、検討するのはどれだけ大変な作業だったことだろう。それでいて、彼らの思い描く自己や目指すところ、またその背景を理解したつもりになることはないと線引きをしているところが良かった。アラビア語の翻字が、カタカナとローマ字両方でところどころおかしいのが気になった。2025/07/21
flowerofzabon
0
ある女性学の紀要の書評記事で絶賛されていたので手に取ったが、本当に傑作だった。2011年の革命の数年前のカイロの学校で働く3人(著者自身も含めれば4人)の女性の「私らしさ」をめぐるナレティブと分析がいきいきと描かれていて一気に読んでしまった。博論の書籍化なので冒頭の方法論に関する部分は門外漢には難しいが、そこを飛ばして最後に振り返ってもいいだろう。分析部分を大幅にカットしたのは成功で誰もが読めるものになった。またエジプト社会を知る上でも本当に有益。大推薦本である。2025/08/15
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