内容説明
グローバリゼーションにより言語・言語教育イデオロギーとコミュニケーションの意義が大きく変わる今、ことばの教育は何をめざすのか?人、ことば、社会・環境を相互に連関する資源と捉える「言語生態学」の視座から、個人と社会をより豊かに(welfare)する営みとしての、ことばの教育を考える。
目次
1 理論(ウェルフェア・リングイスティクスとは;生態学が語ることばの教育―ウェルフェアを実現するために;公正な社会づくりをめざしたトランスランゲージング理論とその実践)
2 イデオロギー(第二の言語イデオロギーの転回におけるメトロリンガルの強み;第二言語の使用・学習・教育とイデオロギー―モノリンガルバイアス、母語話者主義、新自由主義;日本語教育に関する言説とイデオロギーの考察―日本語教師養成における「言語教育観」教育に向けて)
3 実践(ウェルフェア・リングイスティクスを志向する「多言語おしゃべり会International Caf´e for You」の実践;地域の祭りで踊る教育実践―地域への越境を通した留学生のアイデンティティの変化に着目して;ことばの生態的アプローチと教育実践―大阪・エール学園における留学生による地域活動の分析)
あとがき―ともに生きるためのことばの教育にむけて
著者等紹介
尾辻恵美[オツジエミ]
シドニー工科大学准教授。専門は社会言語学、多言語主義、批判的応用言語学、市民性とことばの教育。街における日常多言語活動(メトロリンガリズム)の研究を進めている。最近は、社会言語学と応用言語学の壁を超えた研究に挑み、言語イデオロギーと言語教育イデオロギーをつなげた視点からのことばの教育の必要性を説いている
熊谷由理[クマガイユリ]
スミス大学上級講師。専門は言語教育、クリティカルリテラシー、批判的ディスコース分析。学習者の批判的視点を育むためのプロジェクトの開発に力をいれている
佐藤慎司[サトウシンジ]
プリンストン大学日本語プログラムディレクター・主任講師。専門は教育人類学、日本語教育。従来のことばの教育を批判的に見つめ直し、新たな実践を生み出していくことをライフワークとしている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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