内容説明
賑やかな作品世界を生み出したディケンズ。その人物造形の秘密は、若き日に身につけた速記術にあった!?『骨董屋』『クリスマス・キャロル』『大いなる遺産』などの作品を、“線”にまつわる問題に着目して読み直し、「自己と他者」「生と死」「子どもと大人」などの境界線をめぐる想像力の働きを明らかにする。
目次
“線”で読むディケンズの世界
第1部 ディケンズの速記と想像力(ディケンズの速記と人物造形;ディケンズとホガースの速記術)
第2部 境界線をめぐるドラマ(大人と子どもの境界線―大人の中に子どもはいるのか;自他を隔てる境界線(1)『大いなる遺産』―ピップは自分の人生の主人公になれるのか
自他を隔てる境界線(2)『ドンビー父子』―フローレンス・ドンビーは父親の宝となれるのか)
第3部 境目の想像力(生きているのか死んでいるのか―見世物小屋としての『骨董屋』と人形の死に様;いずれは死なねばならぬから―ディケンズの『骨董屋』『互いの友』とフロイトの『快原理の彼岸』)
越境するディケンズ(の想像力)
著者等紹介
松本靖彦[マツモトヤスヒコ]
東京理科大学教養教育研究院野田キャンパス教養部教授。専門はヴィクトリア朝文学、視覚文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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