内容説明
19世紀のフランス女子教育の中心であった修道院寄宿学校の史的変遷や教育活動の実態を、当時の社会体制をふまえ綿密に検証。女子教育の機運が高まるなかでの、教育と宗教的・国家的・社会的な権力との関係を解き明かし、性別や宗教といった多様な要因が教育に及ぼす影響を考察する。
目次
序章 女子修道院寄宿学校を問うということ
第1章 修道院寄宿学校の始まりから隆盛まで
第2章 修道院寄宿学校の教育
第3章 女性と宗教教育
第4章 非宗教の女子教育をめざして
第5章 修道院寄宿学校と女子リセ・コレージュ
終章 女子修道院寄宿学校とは何であったのか
著者等紹介
山内由賀[ヤマウチユカ]
1986年兵庫県生まれ。聖心女子大学卒業。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程研究指導認定退学、博士(人間・環境学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、立命館大学、神戸女子大学非常勤講師。専門はフランス女子教育史、ジェンダーと教育(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
9
19世紀フランスでの女子修道院寄宿学校での教育というと、世間知らずで徳育に偏重し、公的な世俗教育に駆逐されていった、という一般的な印象があるだろうが、それを覆そうとする博士論文。マイユールやロジャーズを下敷きにしつつも、世俗寄宿学校の問題点と、修道院寄宿学校内部での知育の試みに焦点を当てていく。1867年にすでに、皇后ウジェニーの支援のもと世俗の女子中等教育の試みが行われていたことなど、19世紀全般を通じての、女子教育の激動を明快に描き出している。修道院教育参加は世紀の最初と最後に二度禁止され、合間に繁栄2021/12/11
Honami
1
かつての異国の女子学生達への、温かい眼差しが伝わってきた一冊。2022/01/15