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内容説明
外国人兵士の軍務と市民権はいかにして結びつくのか。「傭兵」は果たして、便利な「道具」であることに安々と甘んじているのだろうか。英国に雇用されてきたネパール出身グルカ兵に焦点を当て、彼らの市民権交渉の複層的な様相、そして軍隊と社会の「もつれた」関係を描き出す。
目次
第1部 グルカ兵雇用の歴史的背景(外国人兵士の軍務と市民権;グルカ兵の誕生―香港返還より前の雇用)
第2部 ネパール市民権の維持のための境界作業(ネパール人アイデンティティの構築と維持、血統的再生産;駐屯地の宗教の二つの顔―歴史的背景と政策、実行の仕組み;駐屯地の宗教の二つの顔―教義と見解)
第3部 グルカ兵の市民権の再定義(雇用政策の変更と英国陸軍への統合の深化―グルカ次元の解体;英国社会への国家レベルの統合を目指して―グルカ正義運動に見る市民権交渉;英国社会への地域レベルの統合を目指して―英国グルカ福祉協会の市民権交渉;ネパール社会への越境的再統合を目指して―「ネパール市民権の継続」運動に見る市民権交渉)
結論
著者等紹介
上杉妙子[ウエスギタエコ]
明治学院大学社会学部付属研究所研究員。博士(学術)。文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BLACK無糖好き
18
英国陸軍に雇用されたネパール人のグルカ兵に焦点を当て、外国人兵士の軍務と市民権の結びつきを考察。駐屯地で実施されていた一元的宗教政策や、退役兵への英国市民権の資格申請をめぐる運動、同じく退役兵のネパールにおける多重市民権の法制化を目指した運動など、これらは、米軍や仏軍の外国人兵士、乃至は国家と契約を結ぶ民間軍事警備会社の傭兵などにはあまり見られないもの。グルカ兵の複数の属性が朧気ながらも見えてきた。◆昨今は、露軍の待遇に釣られ宇戦争で命を落とすネパール人も増加。根底に出稼ぎに依存する国内経済の構造。2024/02/06