内容説明
フランス二十世紀前半のロマンティックな挿絵は、それまでどの国にもなかった斬新で愛らしい女性像を描いている。描かれた女性たちのライフスタイルとファッションは挿絵を通じてアメリカのハリウッド映画やミュージックホールのレヴューに影響し、さらに大正期の日本にも伝わって、竹久夢二らの抒情画や宝塚少女歌劇団に受容された。太平洋戦争後、そこからまた現代少女まんがの自由で豪華な乙女イメージが日本に誕生した。本書は、まさに日本少女まんがのルーツともいうべきフランス・ガール・アートを集大成した、日本で最初のイラストレーション大全である。
目次
マリオ・ラボチェッタの世界
ガーダ・ヴェーナ:両性具有の魔力
幻想とエロティシズムの画家ジョルジュ・バルビエ
お転婆パリジエンヌを愛したレオネック
エルアールの代表作『エプタメロン』
シュザンヌ・ムニエも女流の閨房画家
デザイン感覚に優れたロランジ
イタリアの伊達男、ブルネレスキのアート
神話世界を現代に:キューン=レニエ
ピンナップの発明者キルヒナー
著者等紹介
荒俣宏[アラマタヒロシ]
1947年東京生まれ。慶応大学法学部卒業。「帝都物語」で第8回日本SF大賞を受賞。「世界大博物図鑑第2巻・魚類」でサントリー学芸賞を受賞。幻想文学、カルト学、博物学、図像学、風水の研究者にして小説家。活動の幅は驚異的に広く著書は膨大。博覧強記として広く知られる
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
cozicozy
24
【図書館】タイトルに惹かれて手に取りました。マンガ、大好きです。そして、自分の好みである絵に出逢うことは、とても嬉しいことです。荒俣宏さんの著書ということで、ワクワクしてページを捲りました。描かれた時代から、大変な時間が経ていますが、今、目にしてもどの作品もとても魅力的です。そして、描かれた時代のファッションを楽しむことができます。時に、エロティックな画風もありますが、そこには洗練された雰囲気があり、素敵です。作家について知りたくなりました。興味深い本と出逢いました。2014/02/28
保山ひャン
1
マリオ・ラボチェッタ、ジョルジュ・バルビエ、ガーダ・ヴェーナ、ジョルジュ・レオネックなどなど、二十世紀フランスの挿絵、表紙画をカラー図版多数で解説紹介している。なんとまあ、お洒落で優美で華麗なんでしょう!2015/07/07
くさてる
0
「一枚一枚を大画面で見たい!」という山岸涼子の推薦の言葉通り、紹介されているイラストはどれも美しく、可愛らしく、魅惑的で素晴らしい。二十世紀前半のフランスで発表された「少女マンガのルーツ」とも呼ぶべき、美麗なイラストレーションの紹介本。少女マンガだけでなく、デザインやイラストレーションに興味ある人ならばぜひ。2011/07/28
わす
0
19世紀末フランスの風刺画家はグロテスクでコミカルなタッチを得意としていたが、都市の新しい主役となった女性を描くにあたってはひたすら愛らしくディフォルメした。で、20世紀初頭までに日本の少女まんがのような夢の乙女像が誕生。今描かれるエロ絵なんかと比べて尻が小さく、ふとももが太い。腹にも適度な肉づき。1925年にはストッキングとハイヒールがすでにパリジェンヌのセクシーアピールになっていた。エプロン姿の主婦がセクシーガールの対象となったのは、20世紀の家庭電化革命によっているとも。2024/12/27