内容説明
「楽律」とは音律のこと。江戸期にあってすでに近代合理的思想を先取りしていた天才・富永仲基が、古代中国以来わが国の雅楽までの楽律の変遷を度量衡との関わりから研究・考証し、今日までも通じる自由な音楽論を展開した書が『楽律考』である。本書は、戦後にようやく影印本が出版されたこの『楽律考』に、現代語訳とともに丁寧な注釈・解説を加え、さらには仲基の考証が生まれる背景となった、音楽と政治・儒教との関わりについても概観した貴重な書である。先人たちの音楽観は明治以降の西洋音楽受容にも重なっていた。
目次
第1部 儒教と音楽について(見失われた「楽」;中国古代の礼楽思想;音楽に於ける美と善;正しい音楽とは何か;儒教批判と音楽観 ほか)
第2部 富永仲基『楽律考』現代語訳(贈言;楽律考序;楽律考;音楽に関わる考察九箇条(付)
訳注 ほか)
付録 『楽律考』原文 関西大学東西学術研究所刊影印本から
著者等紹介
横田庄一郎[ヨコタショウイチロウ]
1947年生まれ。評論家。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了
印藤和寛[イントウカズヒロ]
1949年大阪府池田市生まれ。京都大学文学部史学科卒業。現在大阪府立大正高等学校教諭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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