内容説明
圧倒的迫力の狐憑き裁判を描く『中橋稲荷の由来』、伝馬町牢抜け男女の哀切な恋の逃走劇『埋門』。江戸犯罪史実から掘り起こされた時代小説の傑作。
著者等紹介
森岡久元[モリオカヒサモト]
昭和15年(1940)生まれ。4歳から18歳まで尾道で生活する。「姫路文学」「別冊関学文芸」「銘酊船」各同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
neimu
17
初めて読んだ作家。いかつい題名の割に表紙のイラストがやや剽軽。どれどれと読み始めると挿絵も何もない、ガッツリ下調べした博識な知識を元に綿密に書かれた時代劇というより、歴史もの。不気味な狐憑きの話、犯罪者の男女の色恋沙汰と割り切れない、醒めた目と微かな人情味が却って読者の感情移入を煽る、不思議な展開となった。筆力はある、勢いも作品世界の構築も手練れ、けれども読みにくいのは専門用語以外、使用語句の漢字率が高い。文字制限を意識して熟語を使うのではなく、読めないくらい難しい。それがちょっと気になって敷居が高いか。2017/10/30