感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
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「母は決して悪い人ではない けれども 私は早死した父の寂しそうな横顔をありありと思い浮かべることができる 母は人に安らぎを与えることができない人間だった そしてその娘である私は今 お酒といっしょに人に安らぎを売っている こういうのを〈人生〉とでも云うのだろうか?」と描きながらも上村一夫は、夕子の生き方を演歌にはしない。耐えることが女の宿命であるなどと夕子は思っておらず、かといって堕ちるところまで堕ちてやろうという開き直りもない。つまり夕子は男が、もっと言えば社会が求めるドラマを拒絶しているのだ。(つづく)2021/10/24
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