出版社内容情報
第一章 民藝のまち「くらしき」
暮らしの中の美 14 用の美 17
日用に使う工芸品 20
第二章 大原家と「民藝」
大原孫三郎氏と日本民藝館 26
孫三郎氏と民藝を結んだ酒津焼 29
父子鷹 33 「不可能を可能にする」ことに、全力 36
沖縄文化にふれて 39 沖縄文化の娘村 42
芭蕉布復活 45 岡山県民藝協会の設立 48
新しい息吹 51 倉敷民藝館開館 54
日本らしい物に出合う 57
暮らしのあり方を問いつつ 60
第三章 民藝を支えた人たち
外村吉之介氏 66 藍染めの筒袖とモンペの職人姿 69
生涯硬派を貫き通す 72
「世界一小さい学校」倉敷本染手織研究所 75
武内晴二郎氏と柚木沙弥郎氏 78
「思いがあれば、技術は後から付いて来る」 80
難しい仕事のパイオニア 83
手仕事の有り難さ 会堂と西村伊作氏 161
天城幼稚園と遠藤新氏 164 西洋への憧れ 168
薬師寺主計氏の残したもの 171
倉敷のデュドックめざし 174
珈琲館から倉敷・アイビースクエアへ 178
「何もしない」が新しい価値を 180
倉敷中央病院 183 藤木工務店 186 和田精一氏 190
倉敷市立美術館 193 倉敷の町家 195
はじめに
これから倉敷と民藝をテーマにお話ししたいと思います。
倉敷で、民藝と言いますと、たいていの方には、あの美観地区にある、倉敷民藝館を思い出していただけることと思います。中に入ったことがあるかどうかは別にして、倉敷に民藝館のあることは、多くの方がご存じでしょう。
私は、岡山県民藝協会に所属しますが、倉敷民藝館の母体が岡山県民藝協会で、協会の事務所も民藝館の中に置かれています。じつは倉敷民藝館は、この世界では全国的なブランドなのです。各地に民藝の組織がありますから、「岡山県」民藝協会と名乗っていますが、年輩の方は「倉敷」民藝協会と思っておられるのではないかと思う程、「倉敷」の名の方が通りがよいのです。ですから岡山と倉敷を使い分けて、何か大事な発言をする時には、岡山県よりも倉敷を使って主張し、逆に何か責任負担する場合は、岡山県を出すというように、使い分けています。
冗談はともかく、そのように全国的には倉敷と民藝の関連の深さから、倉敷を「民藝の町」と考える人が多いのは事実です。「倉敷」と「民藝」とは、とても縁が深いのです。
倉敷には、熱心な先輩が何人もおられたお陰で、戦後すぐにこ