感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
106
本書の翻訳版は永らく絶版だったらしい。大判2段組み上下巻合計1000ページの巨大な書物の上巻。久しぶりのディケンズだったが、読みにくい文章でなかなかリズムに乗れないままに上巻を終了した。成功した商人のポール・ドンビーの長男ポールは誕生とともに母を亡くし、乳母の手で育てられるが病死してしまう。ドンビー氏は女性であるゆえに長女フローレンスに冷たい。そのドンビー氏がイーディス嬢と再婚する。ディケンズらしい、と感じられる文章も出てきてだんだん慣れてきたが…。下巻でどんな展開が待っているか。G1000。2023/10/24
takeakisky
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マーティン・チャズルウィットの次、デイヴィッド・コパフィールドの前の長篇。持って回り過ぎの文章はディケンズ、仕方ない。所々に散りばめられた昭和30年代俗語っぽい不規則独自訳語はこれしか訳がないのだから、仕方ない、か。ディケンズの訳に聖徳太子を登場させるセンス。よっぽどです。等価でない意訳は困惑の元。主張しすぎの翻訳は迷惑。結局、原文を横に読むことに。序盤は沢山のものを追いかけすぎており、何を感じたらいいのか、誰に付いて行ったらいいのか途方に暮れる。さて、ポールただ一度の商取引相手ゲイ君の行く末は?父君は?2024/07/07
斉藤達也
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読み進むと、「ドンビー父子」の「子」が、読み始めに思うのとは違う意味であることに気付くのが面白い。日常生活が淡々と描かれているようで、実はかなり凝ったストーリーだ。辛辣な皮肉や悪意のあるユーモアは実に完成度が高く、ディケンズの長編小説の中でも傑作の部類ではないか?この本しか翻訳が無いのが不思議だ。2022/10/24