「皇帝」の世界史

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「皇帝」の世界史

  • 池田 知正【著】
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  • サイズ 46判/ページ数 304p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784860648015
  • NDC分類 209
  • Cコード C0022

出版社内容情報

「皇帝」という視点から、世界史の構造を読み解く一冊。
世界が一体化する以前、それぞれの地域世界に皇帝が出現し、長らくその下で世界秩序が構築されてきました。中国の皇帝、ヨーロッパのローマ皇帝、イスラーム世界のカリフ、中央ユーラシアの大カーンが、その代表です。ですから、皇帝を軸に世界史を見ていくことで、世界史を貫く力学的な構造や原理、ダイナミズムを浮き彫りにすることができます。
本書では、世界各地の「皇帝」位の誕生と地域世界の成立を描いたうえで、それらの権威同士が接触・衝突しながらも、その理念を損なうことなく存続して世界を動かしてきた様相(=世界史)を解説しています。
皇帝は古代から現代に至るまで一貫して続く地位であって、世界と直結する存在・概念です。しかしながら、現在、上記の皇帝位は、不在・空位となってしまいました。一方で、中国やロシアの振る舞いを見る限り、それらは今もって権威を有していて、その理念が国際政治の潜在的な動因となっているようにも見えます。なぜそうなったのでしょうか。「皇帝」を視座に世界史を通観して、その理由も明らかにしていきます。


【目次】

内容説明

皇帝を軸にした通史。「皇帝」を視点に世界史の構造と原理を読み解く!現代の習近平(中国)やプーチン(ロシア)の振る舞いの理由も見えてくる。

目次

プロローグ
第1章 中国皇帝の誕生―中国は世界だ
第2章 ローマ帝国とローマ皇帝―共和国が皇帝を産みだした
第3章 イスラーム世界の「皇帝」、カリフ―全世界のイスラーム化をめざして
第4章 神聖ローマ帝国と東ローマ帝国―中世ヨーロッパ世界の二分化
第5章 大カーンの起源―モンゴル前史
第6章 大カーン、真の世界の支配者―モンゴルの世界統一
第7章 モンゴルの後継者たち―大カーンをめざして
第8章 勃興する西ヨーロッパ世界―自由主義と国民主義が「皇帝」を変えたのか?
第9章 「皇帝」消滅―第一次世界大戦前後の諸革命
第10章 「皇帝」のその後と現在―そして、たった一人になった
エピローグ

著者等紹介

池田知正[イケダノリマサ]
島根県生まれ。東京大学文学部東洋史学専修課程卒業。同大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻東アジア歴史社会専門分野博士課程修了(文学博士)。専門は中央ユーラシア古代史。東京大学東洋文化研究所非常勤講師として勤務したのち、高等学校にて世界史の指導に携わる。目下、日本史とのシームレスな世界史叙述が最大の関心事。現在は神奈川県立茅ケ崎北陵高等学校教頭(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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よっち

26
中国の皇帝、ヨーロッパのローマ皇帝、イスラーム世界のカリフ、中央ユーラシアの大カーンといった皇帝という視点から世界史の構造を読み解く1冊。中国、ローマ、イスラーム、モンゴルといった地域世界において、それぞれの皇帝がどのように誕生し、秩序を築き、衝突し消滅していったかを通史的に解説していて、モンゴルの大カーンが登場したことにより、皇帝権が一時的に世界秩序として統合され、以降も想像以上に大義名分が重要だった時期が続いたこと、皇帝の衰退が単なる制度の消滅ではなく理念の変容として捉えている点が興味深かったですね。2025/09/06

かわかみ

11
世界史を皇帝と帝国の興亡の観点から通覧する試みだが、チャイナの皇帝、ローマ帝国のインペラトール、騎馬遊牧民族のカーン、イスラムのカリフをすべて中国語の「皇帝」でまとめるのでややこしい。要は民族を超えた広域を政治的に統合した存在を指す。皇帝が興った時には正統性が喧伝されるが、帝国の衰退と新興勢力の伸長の中で正統性は歪められ、権威が利用される。やがて西ローマ帝国が滅んだ後の近代西欧で国民国家が成立してから「帝国」は不要になり二度の世界大戦を経て皇帝はなくなった。最後に著者は皇帝へのノスタルジーを語る^^;2025/10/11

なつみかん

1
内容に癖があるが面白い視点で気づきが多かった。◇称号の序列、皇帝・王・公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵。◇世界史上多民族を支配したこの世に一人しかいない最高位の人物が皇帝という定義で、中国皇帝、東西ローマ皇帝、カリフ、大カーン◇1789フランス革命後、自由・民族主義が台頭し、国家統合の象徴としての国民国家の皇帝が生まれる(オーストリア、フランス、ドイツ、メキシコなど)◇中世以前は西欧は後進地域、封建制による分権化とカトリック教会が原因。カトリックの凋落により自由な発想が許されルネサンスにつながる2025/11/09

いつき 守

1
「皇帝」を切り口に世界史を叙述しようとする試みに興味があって読んでみた。ただ読みながら各所で違和感を覚えて仕方なかった。かリフを皇帝と位置づけ、スルタンを王にしてしまう…政治や軍事の権限を失い、宗教的・儀礼的な権威だけをもった天皇との比較で考えると分からなくはないが、一般的な認識との解離が大きい気がした。著者は高校で世界史を担当されていたようだが、授業でもそういう説明をされていたんだろうか?ウェストファリアを都市と記載するなど気になる点の多い図書であった2025/08/26

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