内容説明
「今川地域」の活動は、「“まちづくり”は“自分づくり”であり“人も育てる”」と修正を追っている。ワーカーもボランティアも研究者さえも、地域に関わる人々が相互に育ち合い、縦横幅の成長を続けているのである。こうした実践は、ケアの根源的な意義や価値の具現化であると言っても過言ではない。高齢者から子どもたちにいたる多様な活動は、配慮・気遣い・関心というケアの本来的な価値と意味を地域に根づかせ、「生活文化」として開花させているからである。「今川地域」は二一世紀の貴重な共有財産(公共財)を大阪に創り出し、多くの示唆と視座を私たちに与えてくれている。本書は、地域福祉のみならず、ひろく関係分野に刺戟を与える一冊となるだろう。
目次
序章 地域福祉と大阪・今川地域ボランティアの挑戦
第1章 今川今昔―小地域ボランティア実践の譜
第2章 響きあう「今川ボランティア部」
第3章 「グループホームしらさぎ」と今川ボランティア
第4章 同志として、専門職として
第5章 ケアマネジャーも住みたい「今川」
第6章 今川ボランティアの実像と本音
特論1 学びの構造―豊かなインフォーマル・ラーニング
特論2 「今川ボランティア部」における高齢者支援活動の分析―介護保険制度との接点から見える十一の機能
特論3 介護保険制度下における福祉ネットワーク活動の可能性―今川ボランティア部の活動から学ぶ質的融合
著者等紹介
上野谷加代子[ウエノヤカヨコ]
1949年生まれ。桃山学院大学社会学部社会福祉学科教授。日本社会福祉学会理事、日本地域福祉学会理事、日本福祉教育・ボランティア学習会理事
竹村安子[タケムラヤスコ]
1948年生まれ。大阪市社会福祉協議会福祉部企画課長
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