目次
馬の胴体
賑やかな箱
遊魔系
冬の犬
冬の犬以後
著者等紹介
堺利彦[サカイトシヒコ]
1947年、北海道生まれ。「川柳さいたま」同人、日本川柳ペンクラブ理事、川柳学会理事、「バックストローク」同人、「川柳カード」同人等を経て、現在無所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yumiha
32
『教誨師』(堀川惠子)の渡邉普相から教えられた悪人を想起した。人殺しとか強盗とかの悪人ではなく、誰もが持っている負の感情や悪意を意識している人である。逆に言えば、善人は「何も悪いことはしていない」「自分は正しい」 と平然と言い放つ人である。「チベットへ行くうつくしく髪を結い」は、石部明流の善人の姿かもしれない。「罪の数だけは聞える石屋の音」「死顔の布をめくればまた吹雪」「向きおうて死者も生者もめしを食う」など悪人をさまざまに描いた句が圧巻な川柳句集。2020/02/01
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2
「川柳は、言語表現として滅多に成功することのない絶望的な形式なのである。」(18頁) ランドセル背負う死の国生の国/諏訪湖とは昨日の晩御飯である/さびしくて他人のお葬式へゆく/一本の縄とはしゃいでいる命/指で輪を作ると見える霊柩車/フラスコへ一滴たらす父祖の土地/バスが来るまでのぼんやりした殺意/梯子にも轢死体にもなれる春/軍艦の変なところが濡れている/春という一語をもって刺しにゆく/一人ずつ死ねばいいのに雪の朝/少年の魔物を飼っているバケツ/光りつつあなたしずかに腐乱せよ/たましいを抜かれる雨の理髪店2020/01/27