出版社内容情報
食べる、身を守る、移動する、恋するなど、昆虫の群れの種類を目的別に解説し、その特長を生かした新技術などを示す。
著者
藤崎 憲治(ふじさき けんじ)
1947年福岡県生まれ。京都大学大学院農学研究科教授。
専門は昆虫生態学。2004年より文部科学省の21世紀COEプログラム「昆虫科学が拓く未来型食料環境学の創生」のリーダーとして、“Entomomimetic Sciences(昆虫から学ぶ科学)”を提唱中。
主著『動物たちの生き残り戦略』(共著、NHK出版、1990年)、『応用昆虫学の基礎』(共著、朝倉書店、2000年)、『カメムシはなぜ群れる?』(京都大学学術出版会、2001年)、『飛ぶ昆虫、飛ばない昆虫の謎』(編著、東海大学出版会、2004年)など。
鳥飼 否宇(とりかい ひう)
1960年福岡県生まれ。奄美大島在住のミステリー作家。
九州大学理学部生物学科卒業後、出版社に勤務。
2000年より奄美大島に移住し、生物観察を行ないつつ執筆活動中。2008年6月よりNPO法人奄美野鳥の会会長に就任。
主著『中空』(第21回横溝正史ミステリ大賞優秀賞、角川書店、2001年)、『昆虫探偵』(世界文化社、2002年)、『痙攣的』(光文社、2005年)、『樹霊』(東京創元社、2006年)、『官能的』(原書房、2008年)など。
第1章 はじめに―群れとはなにか
第2章 食べる群れ
鳥飼否宇による問題提起
藤崎憲治による返答
1 物理的防御への対抗策としての群れ
2 化学的防御への対抗策としての群れ
3 植物器官と競争するための群れ
4 捕食者の群れ
鳥飼否宇によるまとめ
◆鳥飼否宇によるコラム①
オキナワイチモンジハムシの謎
第3章 護る群れ
鳥飼否宇による問題提起
藤崎憲治による返答
1 希釈効果をねらった群れ
2 エスケープ戦略としての群れ
3 巣網による防御
4 毒を持つチョウの群れ
5 カメムシの脱皮集団
鳥飼否宇によるまとめ
◆鳥飼否宇によるコラム②
誤解の多い昆虫、アメンボ
第4章 恋する群れ
鳥飼否宇による問題提起
藤崎憲治による返答
1 ハレムを作るカメムシ
2 レックという集団求愛場
3 ホタルの集団求愛
4 ユスリカの蚊柱
鳥飼否宇によるまとめ
◆鳥飼否宇によるコラム③
効果音としての昆虫の声
第5章 眠る群れ
鳥飼否宇による問題提起
藤崎憲治による返答
1 カメムシたちの集団越冬
2 甲虫たちの集団越冬
3 マダラチョウたちの越冬集団
鳥飼否宇によるまとめ
第6章 旅する群れ
鳥飼否宇による問題提起
藤崎憲治による返答
1 ウスバキトンボの渡り
2 トビイロウンカの渡り
3 バッタの渡り
4 オオカバマダラの渡り
5 アサギマダラの渡り
6 温暖化によるチョウの分布の拡大
7 温暖化の深刻な影響
鳥飼否宇によるまとめ
◆鳥飼否宇によるコラム④
昆虫たちの知恵比べ、擬態
第7章 つながる群れ
鳥飼否宇による問題提起
藤崎憲治による返答
1 亜社会性の昆虫たち
2 真社会性の昆虫たちとその進化
3 シロアリと菌核菌との共生関係
4 群知能
5 社会性昆虫、生態系、そして人類
鳥飼否宇によるまとめ
◆鳥飼否宇によるコラム⑤
放っておけないヤギ問題
おわりに――昆虫の群れから何を学ぶか