出版社内容情報
異種材料の複合化による、新規機能の発現を目的としたコンポジット材料は、FRPのように日常生活に欠かせないものとなっている。近年、その複合化のサイズを「ナノスケール」でコントロールしたいわゆるナノコンポジット材料が提案されている。この実現には個々の材料の特性に加え、サイズ・量・界面状態の精密設計が必要であり、さらにコストを踏まえた生産加工も重要になる。本書では該材料技術がどこまできているのか、現状と展望を解説する。
執筆者(講演者)計5名
井上 隆 山形大学工学部 機能高分子工学科 分子設計工学講座 教授
臼杵 有光 (株)豊田中央研究所 有機材料基盤研究室 室長
長谷川 喜一 大阪市立工業研究所 加工技術課 高性能樹脂研究室 研究副主幹
上田 一恵 (株)ユニチカ 中央研究所開発2グループ グループ長
高原 淳 九州大学 先導物質化学研究所 分子集積化学部門 教授・副所長
●序文
第1講 ナノ構造制御と機能発現
1 はじめに
2 ナノ構造形成の基礎
3 リアクティブブレンドによる非粘弾性PAアロイ
4 反応誘起型相分解による半導体パッケージ材料の設計
5 せん断場依存型相溶解と動的架橋:難燃性熱可塑性エラストマーへの展開
6 クレイの3次元網目形成による難燃性の向上
7 まとめ
第2講 ポリマークレイナノコンポジットへのニーズとシーズ
1 はじめに
2 クレイとクレイナノコンポジット
2.1 クレイの構造
2.2 ナノコンポジットの分類
3 材料開発例
3.1 ナイロン/クレイハイブリッド
3.2 ポリオレフィン/クレイナノコンポジット
3.3 ポリスチレン/クレイナノコンポジット
3.4 ポリイミド/クレイナノコンポジット
4 ナノコンポジットの構造制御
5 ニーズと物性制御例
5.1 弾性率制御
5.2 ガス透過性の制御
5.3 難燃性
5.4 線膨張率
5.5 耐膨潤性
5.6 耐クリープ性
5.7 摺動特性の制御
5.8 耐電圧性
5.9 加工性
6 まとめ
第3講 熱硬化性樹脂系クレイナノコンポジットの現状と展望
1 はじめに
2 エポキシ樹脂系クレイナノコンポジット
2.1 接着性・難燃性の改善
2.1.1 エポキシ樹脂ナノコンポジットの作製
2.1.2 エポキシ樹脂ナノコンポジットの物性
2.2 ガスバリア性の向上
2.3 耐電圧性の向上
2.4 熱膨張率の低減
3 フェノール樹脂-耐熱性の向上
4 ビニルエステル樹脂-環境劣化バリア性の向上
5 ポリイミド-耐熱酸化安定性の向上
6 まとめ
第4講 ポリ乳酸系ナノコンポジット材料の現状と展望
1 はじめに
2 ポリ乳酸について
3 ポリ乳酸の特性
3.1 ポリ乳酸の分解性
3.2 結晶性
4 ポリ乳酸のナノコンポジット化
4.1 ナノコンポジットの作製方法
4.2 ナノコンポジット化による結晶化速度の向上
5 ポリ乳酸ナノコンポジットの用途
6 ポリ乳酸ナノコンポジットの今後の展開
6.1 加工方法の工夫
6.2 耐久性の向上
7 まとめ
第5講 天然無機ナノチューブ「イモゴライト」のハイブリッド材料への応用
1 はじめに
2 イモゴライトの構造と性質
2.1 イモゴライトの採取、精製
2.2 イモゴライトの構造と特徴
3 イモゴライトの表面化学修飾と薄膜化
3.1 表面化学修飾
3.2 アルキルリン酸修飾イモゴライトの薄膜化
3.3 導電性高分子とイモゴライトのハイブリッド化
4 イモゴライトと合成高分子のハイブリッド化
4.1 イモゴライトとポリビニルアルコールのハイブリッド
4.2 (イモゴライト/ポリメタクリル酸メチル(PMMA))ナノハイブリッド
5 イモゴライトのその場合成による(イモゴライト/ポリビニルアルコール(PVA))ナノハイブリッドの調製
6 イモゴライトと高分子の分子間相互作用を利用したハイブリッドハイドロゲル
7 まとめ